2025年6月2日
2025年6月2日「飲み物くらいなら、マウスピースをつけたままでも大丈夫かな…？」と、軽い気持ちでコーヒーや炭酸飲料などを飲んでしまっていませんか？
インビザラインは、透明で目立ちにくく、取り外しもできる矯正方法です。
日常生活に取り入れやすい反面「何を飲んでいいのか」「どこまでOKなのか」といった細かな疑問が生まれやすい治療でもあります。
特に飲み物に関しては、虫歯・着色・装置の変形といったリスクが関わってくるため、正しい知識を持っておくことがとても大切です。
本記事では、装着中に飲める飲み物や飲まない方がいい飲み物、万が一飲んでしまったときの対処法について、わかりやすく解説していきます。
不安を減らしながら治療を安心して続けていただけるように、ぜひ最後までお読みください。
インビザラインを装着したまま飲み物は飲める？
| 飲んでいいもの | 飲まないほうがいいもの |
| 水（常温・冷水） 無糖・無色・非酸性のハーブティー | ジュース類（炭酸飲料、エナジードリンク、スポーツドリンク、炭酸水、乳酸菌飲料） 色のついた飲み物（紅茶、コーヒー、お茶、色付き清涼飲料） アルコール類（ビール、日本酒、赤ワイン、カクテル） 60℃以上の飲み物（白湯、ホットコーヒー、紅茶、スープ） |
インビザライン装着中に安全に飲めるのは「水」のみと考えるのが原則です。
マウスピースを装着した状態では、飲み物が歯と装置のすき間に残りやすくなります。
これにより、虫歯や歯周病、着色、装置の変形といったトラブルのリスクが高まります。結果として、治療計画に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
ここからは、装着したまま飲んでも問題のない飲み物と、避けるべき飲み物とその理由を具体的に解説していきます。
飲んでもいいもの
インビザライン矯正中に装着したまま飲んでもよいとされるのは、以下のような飲み物です。
水（常温・冷水）
唯一、装着したまま安全に飲める飲み物です。無糖・無色・中性（pH7前後）であるため、虫歯・着色・装置の変形といったリスクがありません。
また、こまめな水分補給は、口腔内の乾燥や口臭の予防・唾液分泌の促進にもつながります。
矯正中は、歯や装置を清潔に保つという点でも水を積極的に摂ることが推奨されます。
無糖・無色・非酸性のハーブティー（条件付き）
香料や酸味、色素を含まない一部のハーブティーであれば、条件付きで飲用が許容されるケースもあります。
ただし、マウスピースに香りや成分が移る可能性があるため、飲んだ後は必ず口をゆすぐか、装置を洗浄するようにしましょう。
飲まない方がいいもの
以下の飲み物は、装着したまま摂取することで口腔内やマウスピースに悪影響を与える可能性があるため、避けるようにしましょう。
糖を含む飲み物
【例】ジュース、加糖コーヒー、炭酸飲料、エナジードリンクなど
糖分は、虫歯の原因菌（ミュータンス菌）によって分解され、酸が生成されます。これが歯のエナメル質を溶かし、虫歯の進行を促す原因となります。
マウスピース装着中は、唾液による自浄作用が制限されるため、糖が歯の表面にとどまりやすく、虫歯リスクが格段に高くなります。
糖分を含む飲み物を飲むときは、必ずマウスピースを外し、飲んだ後は歯磨きやうがいをしてから再装着しましょう。
酸性の飲み物
【例】スポーツドリンク、炭酸水（pH2.2～4）、乳酸菌飲料など
酸性の飲料は、歯の表面のエナメル質を溶かす「酸蝕症（さんしょくしょう）」の原因です。pH5.5以下の飲料は、歯の脱灰（表面のミネラルが溶けること）を引き起こしやすいとされています。
マウスピースを装着していると酸が歯面に長く残り、通常よりも酸蝕（さんしょく）の進行が早まるリスクがあります。
色のついた飲み物
【例】紅茶、コーヒー、赤ワイン、お茶、色付き清涼飲料など
これらの飲み物に含まれるタンニンやポリフェノールなどの色素成分が、歯やマウスピースに着色を引き起こす可能性があります。
透明なマウスピースの審美性が損なわれるだけでなく、歯そのものが黄ばんで見えてしまうこともあるため、避けてください。
これらは一度の飲用であっても落とすのが難しく、クリーニングや再作成が必要になるケースもあります。
飲む際は、必ず装置を外しましょう。
アルコール飲料
【例】ビール、日本酒、赤ワイン、カクテルなど
アルコール飲料の多くは、糖分や酸性成分を含んでおり、虫歯・酸蝕のリスクを高める要因となります。
また、アルコールに含まれる香料や揮発性成分がマウスピースに移ることで、衛生面にも影響を及ぼす可能性があります。
焼酎やウイスキーなど糖分を含まないものもありますが、中性に近いとはいえ、装着したままの摂取は推奨されません。
アルコールを飲む際はマウスピースを外し、飲んだ後はしっかり歯磨き・うがいをしてから再装着しましょう。
温度の高い飲み物
【例】ホットコーヒー、紅茶、スープ類など（60℃以上の飲み物）
インビザラインのマウスピースは医療用プラスチック（ポリウレタン）製であり、熱に弱い性質があります。
60℃以上の高温の飲み物がマウスピースに接すると、短時間でも変形のリスクがあり、装置のフィット感や機能性に悪影響を与えることがあります。
装置が変形すると歯の動きが計画どおりに進まず、治療期間の延長や再作成に伴う費用負担が発生する可能性もあります。
インビザラインをつけたままNGな飲み物を飲んだ時の対処法
マウスピースを装着したまま、避けるべき飲み物をうっかり口にしてしまった場合でも、早めに適切なケアを行えば、虫歯や着色などのリスクを最小限に抑えることが可能です。
以下の対処法を参考に、できるだけ速やかに対応しましょう。
【飲んだ直後のケア手順】
- すぐに口をゆすぐ、または歯磨きをする
- マウスピースを丁寧に洗浄する
飲み物に含まれる糖分や酸を早めに除去することで、虫歯や酸蝕症のリスクを軽減できます。特に加糖飲料や酸性飲料を摂取した後は、時間をあけずにケアしましょう。
また、飲み物の色素やにおい、雑菌が装置に付着しないように、流水でしっかり洗い流しましょう。可能であれば、専用の洗浄剤や中性洗剤の使用がおすすめです。
【どうしても飲む必要があるとき】
外出先などで装置を外すのが難しい場合は、ストローを使うことで飲み物が歯やマウスピースに触れにくくなります。ただし、あくまで一時的な対応です。
基本的には、NGとされる飲み物を摂るときは、装置を外してから飲むのが原則です。
インビザライン中にNGな飲み物を飲むデメリット
インビザライン矯正中に、装着したままNGとされる飲み物を摂取すると、治療効果の低下や治療計画の遅延など、以下のようなデメリットが生じるリスクがあります。
| 飲み物の種類 | リスク | 主な理由 |
| 加糖飲料 | 虫歯 | ミュータンス菌が酸を生成 |
| 炭酸飲料 | 酸蝕（さんしょく） | pH5.5以下でエナメル質が溶ける |
| 赤ワインやコーヒー、紅茶、緑茶 | 着色・色素沈着 | ポリフェノールによる色素沈着 |
| 温かい飲み物 | マウスピースの変形 | 60℃以上で装置が歪む可能性 |
虫歯になるリスクが高まる
マウスピース装着中は、唾液の自浄作用が制限されて糖分が歯の表面にとどまりやすくなるため、虫歯菌の活動が活発になり虫歯ができるリスクが大幅に高まります。
特に、糖分を含む飲み物を装着中に繰り返し摂取する習慣がある場合は、虫歯の進行が早まる可能性があるため要注意です。
虫歯治療のために矯正装置を一時的に外す必要が出た場合、治療が1〜2か月延びるケースや通院回数が増える可能性があります。
歯や矯正装置が色素沈着する
紅茶、コーヒー、赤ワインなどに含まれるタンニンやポリフェノールといった色素成分は、歯とマウスピースの両方に沈着する可能性があります。
特に前歯の着色は、矯正期間中の見た目に大きく影響し、患者のストレスにつながりやすいポイントです。
| 具体的な影響例 | マウスピースの変色が目立ち、透明感が損なわれた場合は、再作成に1〜2万円程度の追加費用が発生することもあります（医院により異なります）。また、再作成には時間がかかるため、治療期間が最大1か月程度延長される可能性もあります。 |
熱い飲み物を飲むと矯正装置が変形する
インビザラインのマウスピースは、熱に弱いポリウレタン系の樹脂素材で作られているため、60℃以上の飲み物と接触することで、装置がわずかに変形する可能性があります。
フィット感のズレは、歯の移動に微妙な誤差を生じさせ、予定していた矯正効果が得られなくなるリスクを招きます。
| 具体的な影響例 | 変形によって再作成が必要になった場合、製作期間は約10日〜2週間ほどかかり、1枚あたり5,000〜15,000円程度の費用が発生することがあります。その結果、治療全体が1〜2か月延びる可能性もあるため、温度には十分注意しましょう。 |
まとめ
インビザライン矯正中、装着したままでも飲めるのは、基本的に「水」のみです。
それ以外の飲み物を摂取する際は、マウスピースを外す→飲む→歯磨き・うがい→マウスピースを洗浄してから再装着という基本的なケアを徹底することで、虫歯や装置の変形・着色といったリスクを抑えることができます。
もし、装着したままNGとされる飲み物をうっかり飲んでしまっても、できるだけ早く適切なケアを行うことで、大きなトラブルに発展するのを防ぐことは可能です。
気になることがあれば、治療を担当する歯科医師やスタッフへ遠慮なくご相談ください。一人ひとりに合った適切なアドバイスをもとに、安心して治療を進めていきましょう。
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