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キレイラインとインビザラインの違い|マウスピース矯正するならどっちがいい?

歯並びの悩みを解消したいけれど、できるだけ目立たず、負担の少ない方法を選びたいと考えていませんか。
そんな方に人気なのが「マウスピース矯正」です。

中でもよく耳にするのが「キレイライン」と「インビザライン」。
どちらも透明なマウスピースを使った矯正ですが、治療の適応範囲や費用、通院頻度などに明確な違いがあります。

この記事では、両者の特徴や違いを比較しながら、どのような方にどちらの治療が向いているのかを詳しく解説します。
自分に合った矯正方法を選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてください。

浅見 拓哉
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会 認定医/インビザライン認定ドクター
三上 智彦
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会認定医/インビザライン認定ドクター
名倉 奈津子
監修 矯正ドクター
東京歯科大学卒/医療法人社団佑健会 勤務

マウスピース矯正とは

マウスピース矯正とは、透明なポリウレタン製や医療用樹脂製のマウスピースを用いて、歯を少しずつ動かし整える矯正治療です。

治療開始前に歯科医が詳細な治療計画を立案し、その計画に基づいて複数のマウスピースが作製されます。約1週間程度で段階的に交換しながら段階的に歯を動かし、目標とする歯並びへと徐々に近づけていきます。

適応症例は、軽度から中等度の出っ歯、すきっ歯、叢生(ガタつき)、後戻り矯正などが中心で、治療プラン次第で奥歯や噛み合わせの矯正にも対応可能です。

また、小児向けプランも用意されており、ワイヤー矯正の痛みや見た目に不安を感じる保護者にとっても安心して検討できる選択肢のひとつです。

以下に、マウスピース矯正の主なメリットとデメリットをご紹介します。

■メリット

  • 透明で目立ちにくく、周囲に気づかれにくい
  • 取り外し可能なため、食事や歯磨きがしやすい
  • 金属アレルギーがあっても治療が可能
  • ワイヤー矯正に比べ、痛みや口内炎が少ない
  • ホワイトニングと併用できる

■デメリット

  • 1日20時間以上の装着が必要で、装着時間が短いと効果が出にくい
  • 食事や飲み物のたびに外すため、紛失や破損のリスクがある
  • 対応できる症例には限界がある

インビザラインとは

インビザラインは、1997年の登場以来、改良と研究を重ねてきたマウスピース型矯正装置であり、2023年末時点で世界2,000万件以上の治療実績※を誇ります。

現在、マウスピース矯正の中で最も広く認知され、信頼性の高い選択肢として支持されています。

厚さ約0.5mmの薄型設計と、歯茎に当たりにくい波型カットが特長です。

この設計により、装着時の異物感や痛みが軽減され、発音や日常生活への影響も最小限に抑えられます。

適応範囲も部分矯正から全体矯正、噛み合わせの改善、重度の不正咬合や抜歯を伴う症例まで幅広く対応可能です。

さらに、乳歯が残っている小児向け(6~10歳程度)には「インビザライン・ファースト」というプランが用意されており、早期の矯正が必要なお子さまにも選ばれています。

治療は、初回の口腔内スキャニングで全体のシミュレーションを行い、その計画に沿って全ステージ分のマウスピースを一括作製するため、通院回数を抑えたい方にもおすすめです。

※インビザライン矯正とインビザライン Go矯正の合計(2025年4月末時点)

キレイラインとは

キレイラインは、累計患者数が12万人以上※にのぼる、手軽に始められるマウスピース矯正法です。

治療期間は最短2.5ヶ月から可能で、お試し価格として2.2万円からスタートできるため、高額な費用や長期間の治療に不安を感じている方でも、気軽に始めやすいのが魅力です。

治療の適応範囲は、主に上下前歯12本に特化しており、軽度から中度の出っ歯・すきっ歯・叢生(ガタガタ)などに対応しています。
一方、奥歯や噛み合わせの大幅な改善が必要な重度の症例は対象外となるため、見た目の改善を重視する方に適した選択肢といえるでしょう。

また、乳歯が残るお子さま向けに「キレイラインKIDS」も用意されており、対象年齢は3歳から12歳です。小児期に歯並びや顎の成長を整えることで、将来的な矯正負担の軽減が期待されます。

キレイラインは、歯科医師の診断に基づきながらも、患者が「ここまでで満足」と判断したタイミングで治療を終了できるため、無理のないペースで進められる点が評価されています。

※2017年6月~2023年11月の契約者様の合計数

キレイラインとインビザラインの違い

マウスピース

キレイラインもインビザラインもどちらもマウスピース矯正ではありますが、対応症例や費用など、それぞれの特色があります。

以下の表に、キレイラインとインビザラインの違いをまとめています。

項目インビザラインキレイライン
対応症例部分矯正〜全体矯正軽度〜中度の症例(上下前歯12本のみ)
小児対応6~10歳程度も対応可能3〜12歳対象
費用目安高額/30~100万円程度低価格/最大46.2万円(税込)
治療期間約3ヶ月~3年約5ヶ月〜1年3ヶ月
通院頻度月1回~数ヶ月に1回程度都度払い:3週間に1回程度コース払い:2.5ヶ月に1回程度
装着時間1日22時間以上1日20時間以上
交換頻度1〜2週間ごとに交換ハード&ソフトを各3週間ずつ装着
抜歯必要があれば行う基本的に抜歯しない

ここからは、5つの視点で両者の特徴を比較して解説します。

治療可能な歯並び

インビザラインはさまざまな症例に対応しており、キレイラインは前歯の矯正に特化しています。

■インビザライン

噛み合わせの改善や奥歯の移動、抜歯を伴う症例、さらには重度の不正咬合まで幅広く対応できるのが特徴です。

小児治療にも対応しており、6~10歳程度の乳歯が残る段階からの早期治療も可能です。

■キレイライン

軽度から中度の出っ歯やすきっ歯、叢生(ガタガタ)といった前歯を中心とした部分的な矯正に適しており、奥歯の移動や重度の不正咬合には不向きです。

ただし、3歳から12歳の小児向けプラン「キレイラインKIDS」を用意しており、一定の小児治療も可能です。

費用と治療期間

インビザラインは、大人を対象にしたプランが4つ、小児向けのプランが1つ用意されています。

一方、キレイラインは支払い回数でプランが決定されます。

■インビザライン

インビザラインは、症例の難易度や治療範囲に応じて複数のプランが用意されており、費用は全体的に高めですが、幅広い症例に対応できるのが特徴です。

治療期間は約3ヶ月から3年が目安で、長期的かつ計画的な矯正が可能です。

具体的なプランと費用は以下のとおりです。

プランコンプリヘンシブモデレートライトエクスプレスファースト
対応症例全体矯正中程度の矯正軽度の矯正ごく軽度の矯正小児向けの矯正
治療期間2~3年1年~1年半約7ヶ月3~4ヶ月最大約1年半
費用目安80~100万円程度70~90万円50万円~30万円~75万円程度

初診料はクリニックによって異なるため、事前に確認しましょう。

■キレイライン

キレイラインは「低価格・短期間」で始めやすい点が強みです。

都度払い・コース払いの2種類から支払い方法を選択でき、予算に応じた無理のない治療が可能で治療期間は比較的短く、約5ヶ月から1年3ヶ月程度で終了するケースがほとんどです。

具体的な料金体系は以下のとおりです。

プラン都度払いコース払い分割払い
費用1回あたり44,000円(税込)5回コース:198,000円(税込)10回コース:330,000円(税込)15回コース:462,000円(税込)月々約3,100円〜(条件により変動)

なお、キレイラインでは別途、初診料・再診料(約3000円程度)保定装置代(約2〜6万円)や、必要に応じた追加治療(拡大床・IPR・アタッチメント等)の費用が発生します。

成長や歯並びの状態により治療期間は異なりますが、治療期間目安は最短1年程度。1日の装着時間も10時間程度で済むため、お子様の負担になりにくいのも特長です。

通院回数・頻度

インビザラインは比較的通院回数が少ない傾向にありますが、キレイラインは契約方法によって通院頻度が変わる点が特徴です。

■インビザライン

インビザラインでは、治療経過の確認のために定期的な通院が必要です。

頻度は月に1回から数ヶ月に1回程度が目安ですが、進行状況や医院ごとの方針によって異なります。

具体的なスケジュールは、治療前に歯科医師と相談のうえ決定します。

■キレイライン

キレイラインでは、契約方法によって通院の流れや頻度が異なります。

  • 初回通院
    すべての患者共通で、初回検診時に歯型スキャンを実施します。

その後、最短3週間程度でマウスピースが完成し、受け取り・装着確認のために来院します。

  • 2回目以降の通院(コース契約の場合)
    コース契約では、治療計画に基づいて複数枚のマウスピースがまとめて提供されますが、定期検診のため約2.5ヶ月に1回のペースで来院します。
    ※拡大床を併用する場合など、歯科医師の判断により5ステージごとに来院回数が増える場合があります。
  • 2回目以降の通院(都度払いの場合)
    都度払いでは、毎回の治療ごとに歯型採取を行い、最短3週間後にマウスピースを受け取ります。

その後、2週間装着した段階で再度歯型採取のために来院するという流れを繰り返します。

マウスピースの装着時間

どちらも共通して、20時間以上の装着が推奨されています。装着を忘れたり、時間が不足したりすると、治療が計画通りに進まず、治療期間が延びてしまう可能性があるため、装着時間を管理する必要があります。

■インビザライン
インビザラインでは、種類ごとに指定された1日あたりの装着時間が定められており、基本的には22時間以上の装着が推奨されています。

■キレイライン
キレイラインも、1日20時間以上の装着が必要です。外していられる時間は1日合計4時間までとされており、1回あたりの外している時間はできるだけ1時間以内に収めるのが理想です。

やむを得ず2時間以上外す場合でも、途中で数分だけでも装着することで、歯の戻りをカバーしやすくなります。
なお、1日4時間以上外すと、予定より治療が遅れるリスクが高まるため注意が必要です。

治療方針・方法

治療方針や進め方にも、両者で大きな違いがあります。

■インビザライン

初回の型取り時に治療全体のシミュレーションを行い、その計画に沿って全ステージ分のマウスピースを一括作製します。治療の進行に応じて患者がマウスピースを順次交換するため、治療は計画的かつ効率的に進みます。

さらに、IPR(歯の削合)やアタッチメント、顎間ゴムが標準的に組み込まれており、複雑な歯の動きや噛み合わせの調整まで精度高く対応できる点が特徴です。

■キレイライン

都度払いの場合には治療ごとに歯型を取り直し、その都度マウスピースを作製します。IPRやアタッチメントは必要に応じて追加治療として実施されますが、標準では使用されません。

また、噛み合わせを調整する顎間ゴムは使用せず、抜歯も基本的にはしない方針です。


こうした点からも、キレイラインは「見た目の改善を優先した矯正」に適しているといえます。

インビザラインが向いている人

インビザラインは、以下のようなニーズを持つ方に適しています。

  • 奥歯や噛み合わせまで含めた全体矯正が必要な方
  • 重度の不正咬合や、抜歯を伴う矯正が必要な方
  • 乳歯が残っている段階での小児矯正を希望する方
  • 信頼と実績のあるメーカーでの治療を希望する方
  • 高額でも幅広い症例に対応できる治療を求める方

インビザラインは、治療開始時に全ステージ分のマウスピースが一括作製されるため、計画的かつスムーズに治療が進みやすいのが強みです。精密なデジタルシミュレーションで治療後の仕上がりが事前に予測できるため、ゴールイメージを持ちながら安心して取り組めます。

また、インビザラインは重度の症例に強いだけでなく、軽度〜中等度の症例に対応した「エクスプレス」「ライト」などの低コストプランも用意されています。

そのため、軽度の歯並びの乱れをしっかり治したい方や幅広い選択肢の中から自分に合った治療計画を立てたい方にも適しています。

キレイラインが向いている人

キレイラインは、以下のようなニーズを持つ方に向いています。

  • 前歯など目立つ部分のみを整えたい方
  • 軽度〜中度の症例で、短期間で改善したい方
  • 低価格で気軽に矯正を始めたい方
  • 分割払いや都度払いを活用して、費用負担を軽減したい方
  • 自己管理が可能な小児矯正を検討している方

キレイラインは、患者自身が治療ゴールを決められる柔軟さが特徴です。「この段階で満足」というタイミングで治療を終えられるため、無理なく自分のペースで進めたい方に向いています。

審美的な改善を重視しつつ、コストを抑えたい方やお試し感覚で始めたい方にも人気です。

まとめ

マウスピース矯正は、目立たず、取り外しができることから人気の高い矯正方法です。

その中でも「インビザライン」と「キレイライン」は代表的な選択肢であり、それぞれに異なる強みがあります。

インビザラインは、全体矯正や重度の不正咬合、噛み合わせの調整など、幅広い症例に対応できる精度の高い治療が魅力です。長期間の計画的な治療を希望する方や、通院頻度を抑えたい方に適しています。

一方キレイラインは、前歯を中心とした軽度〜中度の矯正を、低価格・短期間で始めやすいのが特長です。費用負担を抑えつつ、見た目の改善を優先したい方や、自分のペースで治療を進めたい方に向いています。

どちらを選ぶべきかは、矯正の目的や重視するポイントによって異なります。

治療前に歯科医師と相談し、自分に合った方法を見極めることが、満足のいく矯正結果につながるでしょう。


Emi

デパコスからドラコスまで大好きな、根っからの美容好き。最近は美容医療領域の興味関心度が高い。綺麗に年を重ね、素から綺麗を目指したい。