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インビザラインの保定期間とは?後戻りが起こる理由やリテーナーの種類も解説

インビザラインで歯並びがきれいになったら、治療は終わりだと安心していませんか?実は、整えた歯並びを維持するために、矯正治療後の保定期間が重要です。

保定期間中にケアを怠ると、歯が動いて再び乱れてしまう可能性があります。

「なぜ再び歯が動くの?」「保定期間は何をすればいいの?」などと疑問に思う方もいるでしょう。

この記事では、インビザライン矯正後に後戻りが起こる理由と、保定期間について解説します。治療後のトラブルを防ぎ、美しい歯並びを長く保つために、ぜひ参考にしてください。

浅見 拓哉
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会 認定医/インビザライン認定ドクター
三上 智彦
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会認定医/インビザライン認定ドクター
名倉 奈津子
監修 矯正ドクター
東京歯科大学卒/医療法人社団佑健会 勤務

インビザライン矯正後に後戻りが起こる理由

インビザライン矯正後に後戻りが起こる理由は、歯を支える組織が安定していないためです。

矯正治療は、歯に力を加えることで、歯を支えている骨が新しく作り変えられて歯が動くしくみです。

しかし、新しく作られた骨が安定するまでには、ある程度の時間を要します。この安定するまでの期間を保定期間と呼び、歯が元の位置に戻ろうと動きます。

そのため、保定装置(リテーナー)を装着して歯が動くのを防ぐ必要があるのです。

また、舌で歯を押し出す癖や口呼吸などの習慣も、歯並びに不要な力を加え、後戻りを引き起こす要因となります。

後戻りは、インビザラインに限らず、ほかのマウスピース矯正やワイヤー矯正にも起こる現象です。整えた歯並びを安定させるには、歯科医師の指示に従い、毎日リテーナーを装着することが大切です。

インビザライン矯正後に使用するリテーナーの種類

リテーナーにはいくつか種類があり、治療状況やライフスタイルなどによって選択します。ここでは、代表的な3種類のリテーナーについて紹介します。

マウスピースタイプ

マウスピースタイプのリテーナーは、透明なプラスチック製の保定装置です。歯列全体を覆うため、全体的な歯並びの保定に適しています。

インビザラインと同様に、装着していてもほとんど目立ちません。また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすく、衛生的に保ちやすい点もメリットです。インビザラインのマウスピースに慣れている方にとっては、装着時の違和感が少ないでしょう。

ただし、インビザラインのマウスピースと同様に、装着時間を守らなければ後戻りのリスクが高まります。また、取り外しができるため、破損や紛失のないように自己管理が必要です。歯ぎしりや食いしばりによって、穴が開いたり割れたりすることもあります。

ワイヤータイプ(フィックスタイプ)

ワイヤータイプのリテーナーは、歯の裏側に細いワイヤーを固定するタイプの保定装置です。前歯の裏側に装着され、外から見ても気づきにくいです。自分で取り外しができないため、装着忘れによる後戻りの心配がありません。

ただし、歯に直接ワイヤーが接着されているため、ワイヤーの周囲に汚れが溜まりやすい傾向にあります。歯ブラシの毛先やデンタルフロスが届きにくく、歯磨きがしにくい点はデメリットです。

虫歯や歯周病を防ぐには、毎日丁寧にブラッシングを行い、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが大切です。また、硬いものや粘着性のあるものを噛むとワイヤーが外れたり変形したりする場合もあるため、異常を感じたら歯科医院で確認してもらいましょう。

プレートタイプ

プレートタイプのリテーナーは、プラスチックのプレートとワイヤーで作られた、取り外しが可能な保定装置です。上顎の裏側にプレートをつけ、前歯の表面にワイヤーを装着します。

マウスピースタイプに比べて厚みがあり、比較的丈夫で耐久性が高いのが特徴です。歯科医師がワイヤーを微調整することで、わずかに後戻りした場合に修正できる可能性があります。

デメリットは、前歯の表面に金属製のワイヤーを装着するため、審美性には劣る点です。また、マウスピースタイプよりも厚みがあるため、装着感に慣れるまで時間がかかったり、発音しにくくなったりする可能性があります。

インビザライン矯正後の保定期間にかかるお金

前述したとおり、インビザラインで整えた歯並びを維持するには、リテーナーが必要です。歯科医院によっては、リテーナーの作成費用が別途発生する場合があります。

ここからは、インビザライン矯正後の保定期間にかかるお金について解説します。

リテーナーの作成費用

リテーナーの作成費用は、種類によって異なります。目安としては、1〜5万円程度かかることが多いでしょう。

マウスピースタイプ1〜3万円程度
ワイヤータイプ3〜7万円程度
プレートタイプ2〜5万円程度

リテーナーの作成費用に加えて、型取りや装着時の調整費用が別途かかることもあります。

また、保定装置の種類や医院の方針によっては、上下セットでの料金設定がされていたり、矯正治療のプラン料金に含まれているケースもあります。

事前に費用が含まれているかどうか、明細を確認しておくと安心です。

定期検診の費用

保定期間中も、定期的な通院が必要です。リテーナーの調整や歯並びのチェック、口腔内のクリーニングなどを行います。

定期検診の費用は、1回あたり3,000円~5,000円程度が一般的です。通院頻度は、治療直後は1~3ヶ月に1回、歯並びが安定してくると半年に1回など、徐々に間隔が空いていきます。

矯正治療のプランによっては、保定期間中の定期検診の費用が含まれている場合もあります。

リテーナーを作り直す費用

リテーナーは、破損したり紛失したりして、作り直しが必要になることもあります。

リテーナーを再作製する場合は、上記のリテーナー作成費用と同程度の費用が必要です。マウスピースタイプは素材が薄く破損しやすいため、心配な方は予備として複数枚作っておくのもよいでしょう。

再作製の費用は、初回作製時とは別途請求されることが一般的です。また、同じ医院で作り直す場合でも、型取りの費用がかかる場合もあります。

保定期間は、数年単位で続くこともあります。トラブルに備え、費用面も意識しておくことが大切です。

インビザライン矯正後の保定期間の注意点

時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びを維持するには、保定期間中の過ごし方が重要です。ここでは、保定期間中に注意したいポイントについて解説します。

リテーナーを1日20時間以上装着する

歯を支える骨が完全に固まるには時間がかかるため、矯正治療で動かした歯は、新しい位置に慣れるまで不安定な状態です。そのため、歯科医師から指示されたとおりにリテーナーを装着する必要があります。

装着時間の目安は、1日20時間以上です。インビザラインの矯正期間中と同様に、食事と歯磨きの時間以外は装着します。

特に保定開始直後の数ヶ月は、装着時間が不足すると後戻りしやすい傾向にあります。自己判断で装着時間を減らしたり、装着をやめたりしないようにしましょう。

リテーナーをつけたまま飲食しない

マウスピースタイプやプレートタイプのリテーナーの場合、食事をする際は必ず外しましょう。装着したまま飲食をすると、食べかすが挟まりやすくなり、虫歯や歯周病の原因になります。

また、熱い飲み物で変形したり、コーヒーやワインなど色の濃い飲み物で着色したりする恐れがあります。

水以外を飲食する際は必ずリテーナーを外し、食後に歯磨きをしてから再度装着するようにしましょう。外出先では、携帯用ケースと歯ブラシを持ち歩くと便利です。

リテーナーを正しい洗浄方法で管理する

毎日口の中に装着するリテーナーは、清潔に保つことが重要です。正しい方法で洗浄しない場合、細菌が繁殖して口臭の原因になるほか、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。また、変形や破損にも注意が必要です。

リテーナーを外した際には、流水と歯ブラシで優しく洗いましょう。歯磨き粉には研磨剤が含まれているため、リテーナーに傷がつき、細菌が繁殖しやすくなる可能性があります。また、熱湯は変形する必要があるため避けましょう。

週1回程度は、マウスピース専用の洗浄剤を使って洗浄すると、清潔に保てます。

洗浄したリテーナーは専用のケースに入れて保管しましょう。ティッシュに包んだり、直射日光のあたる場所に置いたりすると、紛失や破損につながります。

インビザラインの保定期間に関してよくある質問

インビザラインの保定期間に関して、よくある質問とその回答を以下にまとめました。

リテーナーはどのくらいの期間続けるべき?

保定期間は、一般的に矯正にかかった期間と同程度、またはそれ以上とされています。少なくとも1〜2年は継続して装着が必要です。歯が安定してきたら、徐々に装着時間を減らしていきます。

ただし、歯並びは加齢とともに変化する可能性があるため、夜間だけでもつけ続けて歯並びを安定させた方がよい場合もあります。

担当の歯科医師と相談し、ご自身の状態に合わせた最適な期間を確認しましょう。

リテーナーを付けずに放置するとどうなる?

リテーナーを使用しないと、歯が元の位置に戻ってしまう後戻りが起こる可能性が高くなります。特に、矯正終了から数ヶ月は歯が動きやすい期間です。装着を怠ると、数日で歯並びが変化してしまうケースもあります。

せっかく歯並びを整えても、再び矯正治療が必要になると心理的にも身体的にも負担がかかります。歯並びが乱れると噛み合わせが悪くなり、肩こりや頭痛など顎関節症にもつながりかねません。

歯並びの問題だけでなく、治療にかかった費用を無駄にしないためにも、リテーナーの使用は重要です。美しい歯並びをキープするために、必ず指示通りに装着してください。

まとめ

インビザライン矯正後の後戻りは、歯を支える組織が新しい位置で安定するまでに時間がかかるために起こります。後戻りを防ぎ、美しい歯並びを維持するためには、リテーナーの装着が不可欠です。

リテーナーは、固定式と取り外し式があり、管理方法や費用が異なります。取り外しが可能なマウスピースタイプ・プレートタイプのリテーナーを使用する際は、1日20時間以上の装着時間を守ることが大切です。装着時間が不足すると、再び歯並びが乱れる可能性があります。

もしリテーナーを無くしたり、破損させたりした場合は、早めに歯科医院に相談し、作り直してもらいましょう。

まだ矯正治療を始めておらず、「せっかく矯正したのに後戻りしたくない」「リテーナーの管理がきちんとできるか不安」と感じている方には、インビザラインと同じマウスピース矯正のエミニナル矯正もおすすめです。

エミニナル矯正では、患者さんの治療経過やライフスタイルに合わせたリテーナーを提案しています。

保定期間中もチャットで歯科医師などに相談できるため、疑問や不安が生じた際も安心できるでしょう。具体的な治療期間や費用を知りたい方は、ぜひ初回診断を受けてみてください。


Emi

デパコスからドラコスまで大好きな、根っからの美容好き。最近は美容医療領域の興味関心度が高い。綺麗に年を重ね、素から綺麗を目指したい。