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インビザラインはつらい?乗り越えるための対処法や、ワイヤー矯正との違いを解説

歯並びを整えたいけれど、「矯正治療はつらい」と耳にしたことがあり、なかなか一歩を踏み出せない方もいるかもしれません。

「つらいと感じるのはどのようなとき?」「治療を最後まで続けられる?」などと不安に思う方もいるでしょう。

この記事では、インビザラインでの治療中に「つらい」と感じる理由について解説します。治療を乗り越えるための対処法についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

浅見 拓哉
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会 認定医/インビザライン認定ドクター
三上 智彦
監修 矯正ドクター
日本矯正歯科学会認定医/インビザライン認定ドクター
名倉 奈津子
監修 矯正ドクター
東京歯科大学卒/医療法人社団佑健会 勤務

インビザラインはなぜつらい?

インビザラインは、マウスピースを装着し、交換しながら歯並びを整えていく矯正治療です。

少しずつ歯を動かしていくため、ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が少ないとされていますが、治療中につらいと感じてしまう人もいます。

ここでは、インビザライン治療でつらいと感じやすい主な理由を解説します。

マウスピースの装着時に痛みを感じるから

インビザライン治療では、歯を少しずつ移動させるために、1〜2週間ごとに新しいマウスピースへと交換していきます。

マウスピースを交換した直後は、歯型とマウスピースの形の差が大きい状態です。そのため、装着時に歯に力がかかり、圧迫感や痛みが生じやすい傾向にあります。

交換してから数日間は痛みがピークになることが多く、人によっては熟睡できなかったり、食事を楽しめなかったりして、ストレスにつながることもあるでしょう。

長時間の装着が必要だから

インビザラインでの治療を順調に進めるには、1日20時間以上のマウスピース装着が必要です。外している時間が長くなると、歯が予定通りに動かず、治療期間が延びてしまう可能性があります。

食事と歯磨きの時間以外は装着しなければならないため、長時間装着することをつらいと感じる人もいるでしょう。

特に、接客業や営業職など人と話す機会が多い人は、マウスピースの装着による滑舌への影響や、異物感を気にしてしまうことがあります。

また、マウスピースを装着したままでは水以外の飲食ができないため、普段からコーヒーを片手に仕事をしている人や間食の習慣がある人は、生活習慣の変化にストレスを感じる可能性があります。

食事の際に外さなくてはいけないから

インビザラインは、食事の際には必ずマウスピースを外さなくてはなりません。外したマウスピースを専用ケースに保管し、食後に歯磨きをしてから再度装着するという一連の作業が、食事のたびに必要になります。

この一連の手間を面倒に感じ、治療がつらいと感じる人もいるでしょう。特に、友人とのランチや職場での会食時など、外出先でマウスピースの着脱や歯磨きを行うのが億劫になり、心理的な負担につながるケースも少なくありません。

また、外出先で歯磨きが難しい場面では、マウスピースを長時間外したままになることもあるでしょう。装着時間を守れなくなることが、治療の遅れやストレスの原因になり得ます。

自己管理が必要だから

インビザライン治療は、マウスピースを装着することで歯を移動させ、歯並びを整えていく治療です。

治療を順調に進めるには、虫歯や歯周病などのトラブルを起こさないようにお口の中を衛生的に保ち装着時間を守る必要があります。装着時間を管理したり、毎食後に歯磨きをしたりすることが苦手な人にとっては、負担に感じやすいでしょう。

また、マウスピースは取り外しできてメリットが多い反面、無くしたり壊したりしないよう管理しなければなりません。

マウスピースを紛失したり破損させたりすると、作り直しが必要です。再作製には2週間から1ヶ月程度かかるため、治療期間が延びる場合があります。

治療期間が長引くこともあるから

インビザラインの治療期間は、症例によって異なりますが、1〜2年半程度であることが多いです。

しかし、治療状況によっては、予定よりも長引いてしまうことがあります。治療が長引く主な原因は、以下のとおりです。

  • 装着時間が不足しており、歯が十分に動いていない
  • 虫歯や歯周病が進行し、矯正治療を一時的に中断しなければならなくなった
  • マウスピースを無くした・破損させた
  • 想定よりも歯が動くのが遅い

歯の動きやすさには個人差があるため、装着時間や歯磨きなどの自己管理に問題がなくても、治療期間が延びる場合があります。

治療期間が延びると、モチベーションが下がってしまい、つらいと感じる人もいるでしょう。

インビザラインがつらい時の対処法

「インビザラインを検討しているけれど、つらくならないか不安」あるいは、「今治療をしているがつらい」と感じている方も少なくないでしょう。

ここでは、インビザラインがつらいと感じる気持ちを和らげ、治療を乗り越えるための対処法を紹介します。

痛み止めを飲む

マウスピースの交換直後や歯が大きく動くタイミングでは、痛みを感じやすくなります

我慢できないほどの痛みがある場合は、歯科医師に処方された鎮痛薬や、市販の痛み止めを使用するのもひとつの方法です。鎮痛薬を適切に使うことで、痛みを和らげ、快適に過ごせる場合があります。

ただし、用法・用量を守って使用し、長引く痛みがある場合は自己判断せず、すぐに歯科医師に相談しましょう。

通っている歯医者に相談する

痛みや違和感が強い、マウスピースがフィットしないなど、不安や疑問がある場合は、我慢せずにかかりつけの歯科医院に相談しましょう。

マウスピースの形状や治療計画を微調整することで、症状が改善することもあります。定期的な通院時に伝えるのはもちろん、気になることがあれば早めに電話やメールで連絡しましょう。

歯並びが揃った自分を想像する

痛みや不便さで気分が沈みがちなときは、治療後に得られる理想の歯並びを思い浮かべてみましょう。

「きれいな歯で笑えるようになりたい」「ためらいなく写真を撮れるようになりたい」「自信を持って人前で話せるようになる」など、目標を持つとつらさを乗り越える原動力になります。

治療開始前の歯並びの写真を見返したり、矯正後のシミュレーション画像を見たりするのも、モチベーションの維持につながります。

Xに投稿されている他の人の対処法を参考にしてみる

SNS、特にX(旧Twitter)では、インビザライン経験者のリアルな声が多く投稿されています。「痛みにどう対処したか」「装着時間をどう工夫しているか」など、同じ悩みを持つ人の体験談は参考になります。

共感したり具体的なヒントを得たりすることで、「自分だけがつらいわけではない」と感じ、前向きな気持ちになれることもあるでしょう。

ただし、情報は鵜呑みにせず、あくまで参考にとどめ、最終的には歯科医師のアドバイスに従いましょう。

インビザラインが特につらいタイミング

インビザライン治療には、特に痛みや不便さを感じやすいタイミングがあります。ここでは、多くの人が「つらい」と感じやすい時期について解説します。

初めてマウスピースを装着した時

初めてインビザラインを装着したときは、これまでにない感覚に戸惑う人が多いです。口の中に異物感があり、滑舌が悪くなることもあります。

また、歯が動き始めることで、痛みや圧迫感が生じることも珍しくありません。最初の数日間は特に違和感を覚えやすいですが、少しずつお口の中が慣れていき、違和感も和らいでいきます。

新しいマウスピースに交換した時

インビザラインでは、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。新しいマウスピースを装着した直後が、圧迫感や痛みを感じやすいタイミングです。現在の歯の位置よりも少しだけ歯を動かすようにマウスピースが設計されており、歯に新たな力が加わるためです。

特に、歯の移動が大きい場合は痛みが強くなる傾向にあります。この時期は、やわらかい食事を心がけたり、痛み止めを活用したりして、無理のないように過ごすことが大切です。

インビザラインとワイヤー矯正ならどっちがつらい?

歯列矯正を検討する際、多くの方が気になるのが、治療中のつらさではないでしょうか。インビザラインとワイヤー矯正はそれぞれ異なる特性を持つため、一概にどちらがつらいとは言い切れません。

感じ方は人それぞれですが、それぞれの治療法が持つメリット・デメリットを比較することで、ご自身にとってより負担の少ない選択を見つけられるでしょう。

以下に、インビザラインとワイヤー矯正の特徴についてまとめました。

インビザラインワイヤー矯正
目立ちにくさ透明で目立ちにくい目立ちやすい
(舌側矯正は目立ちにくいが高額)
痛み・不快感ワイヤー矯正に比べて少ないインビザラインよりも感じやすい
食事普段通り食事できる硬いもの・粘着性のあるもの・繊維質なものは注意
歯磨き普段通り歯磨きできる歯磨きしにくい
装置の管理(取り外し・装着時間)必要不要
金属アレルギーのリスクなしあり

ここでは、インビザラインとワイヤー矯正について、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

インビザラインのメリットとデメリット

インビザラインのメリットとデメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
・目立ちにくい
・取り外しができる
・痛みが少ない
・金属アレルギーの心配がない
・通院頻度を少なくできる場合がある
・自己管理が必要
・ワイヤー矯正に比べて適応症例が限られる

インビザラインでは透明の樹脂でできたマウスピースを使用するため、笑ったり人と話したりしても目立ちにくいです。金属を使用しないため金属アレルギーの心配がなく、口腔内を傷つけにくいのもメリットでしょう。

自分で取り外しができるため、普段通り食事が楽しめます。ワイヤー矯正のように、装置の間に食べかすが挟まることもなく、口の中をきれいに保ちやすいです。

ただし、マウスピースの紛失・破損がないよう外した際はケースに保管すること、1日20時間以上の装着時間を守ることが求められます。

間食が多い、仕事中は装着したくないなど、マウスピースを長時間つけていられない方はインビザラインでの治療は難しいかもしれません。

ワイヤー矯正のメリットとデメリット

ワイヤー矯正のメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
・幅広い症例に対応できる・自分で装置の管理をする必要がない・装置が目立ちやすい・食事制限がある・痛みや不快感を覚えやすい・歯磨きがしにくい・月1回程度ワイヤーの調整が必要

ワイヤー矯正のメリットは、マウスピース矯正のような自己管理が必要ない点です。また、歯のねじれが大きい場合や抜歯をして歯を大きく移動させるケースなど、マウスピース矯正では対応が難しい場合でも、対応できる場合があります。

デメリットは、金属製のワイヤーがお口の中にあることで、痛みや違和感を生じやすい点です。装置が頬の内側や舌に当たって口内炎ができることもあります。

さらに、口を開けると目立ちやすいため、周囲の人から矯正治療中であることを気付かれやすいです。歯の内側に装置をつける舌側矯正では外から見えにくくなりますが、舌に装置が当たって違和感を覚えやすくなる点や、費用が高額になるデメリットがあります。

そのほか、ナッツやせんべいなど硬いものや、ガムやキャラメルなどの粘着性のあるものを食べるとワイヤーが外れたり変形したりする恐れがあります。

ワイヤーに食べかすが挟まりやすく、歯磨きがしにくいのも注意点です。装置の周りには汚れがつきやすいため、汚れが残った状態で放置すると虫歯や歯周病のリスクが高まります。


Emi

デパコスからドラコスまで大好きな、根っからの美容好き。最近は美容医療領域の興味関心度が高い。綺麗に年を重ね、素から綺麗を目指したい。