2025年6月10日
2025年6月11日インビザラインで矯正を検討しているけれど、抜歯しないと矯正ができない症例も。
「そもそも自分の歯は抜歯しないと矯正できない症例なの？」「抜歯する矯正の場合の注意点は？」など、矯正前に知っておきたい情報をご紹介していきます。
インビザラインは抜歯を伴う症例も適応
インビザラインでは、抜歯が必要な症例でも歯列矯正ができます。以前は抜歯症例が適応ではありませんでしたが、マウスピースの素材開発などにより抜歯後のスペースに歯を動かせるようになりました。
ただし、すべての症例に無条件でインビザライン矯正が適応されるというわけではありません。
抜歯症例でも、「インビザラインで適応できるケース」と「適応できないケース」があります。
インビザラインで適応できる抜歯矯正
インビザラインで適応できる抜歯症例の、歯並びの一例をご紹介していきます。
ただし以下にご紹介する歯並びでも、歯並びの重症度によって対応できない場合もあります。あくまで一例として参考にしてみてください。
出っ歯｜前歯が突出している
「出っ歯」は上の前歯が大きく前方に出ている歯並びで、医療用語では「上顎前突（じょうがくぜんとつ）」と言います。上下の歯が突出している場合は、「上下顎前突（じょうげがくぜんとつ）」と言います。口元が出ている顔つきを俗に「口ゴボ」と呼ぶこともあります。
インビザラインで出っ歯の抜歯矯正をする場合は、歯を抜いて歯列を並べるスペースを作り、歯の表面に「アタッチメント」という突起物をつけて矯正を行います。抜歯をして大きく歯を移動させると、横顔のイメージが大きく変わります。
叢生｜歯の向きに問題がある
「叢生（そうせい）」とは、凸凹と歯が並んでいたり、歯の向きに問題があったり、隣り通しの歯が部分的に重なったりしている歯並びです。
抜歯をしてスペースを作った後、必要に応じて顎間ゴムを使いながらインビザライン矯正で治療を行います。
受け口｜しゃくれている
「受け口」は、下の歯が上の歯よりも前に出ている歯並びで、「下顎前突（かがくぜんとつ）」「反対咬合（はんたいこうごう）」「しゃくれ」とも呼ばれます。
抜歯をして下の歯を引っ込めるためのスペースを作り、顎間ゴム（エラスティック）を使用しながらインビザラインで矯正できるケースがあります。
抜歯を伴うインビザライン矯正｜時期・費用・期間
抜歯を伴うインビザライン矯正について、「抜歯のタイミング」「費用の目安」「治療期間」を解説していきます。
抜歯のタイミングはいつ？
抜歯をするタイミングは、症例や抜歯をする歯によって異なります。
「親知らず」は矯正開始前に抜歯することが多いです。歯周病や虫歯で寿命が短くなっている歯がある場合も、治療開始前に抜くことが多いでしょう。
歯列矯正で抜くことが多い「第一小臼歯（4番の歯）」は、ある程度歯並びを整えてから抜歯をするケースと、治療開始前に抜歯するケースがあります。
抜歯を伴う矯正治療の費用は？
抜歯を伴うインビザライン矯正の費用は、非抜歯矯正に比べて大きく変わるということはありません。
ただし、抜歯をする際に数千円～数万円程度の費用がかかることがあります。歯列矯正のための抜歯は基本的に自費診療となり、歯科医院によって料金が異なります。
抜歯すると治療期間が長引く？
抜歯をしてインビザライン矯正をすると、抜歯なしの矯正に比べて治療期間が長くなる傾向にあります。
歯を抜くとその分歯の移動量が多くなるため、2～3年ほどの治療期間（場合によってはそれ以上）かかることが多いです。
抜歯以外にもある！歯と歯の空間を作る方法
ここまで抜歯をしてインビザライン矯正をする例について解説しましたが、インビザラインで抜歯をしなくても、歯と歯の間のスペースを作る方法はあります。
ちなみに抜歯をすると、14mm（第一小臼歯7mm×2本）ほどのスペースが確保できます。歯並びによってはそこまで大きなスペースが必要でないことも多く、以下にあげる方法でスペースを作って矯正できる可能性があります。
抜歯以外のスペースを作る方法「IPR」「歯列の側方拡大」「臼歯（奥歯）の後方移動」について、詳しく解説していきます。
①IPRの利用
スペース不足がわずかな場合は、抜歯ではなくIPRを利用して歯を動かす空間を作ります。
IPR（ストリッピング/ディスキング）とは、歯と歯の間のエナメル質にやすりをかけることによって、空間を作る処置のことです。歯を削るとはいえ片側0.2mm～0.5mm程度なので、基本的に痛みなどはなく歯の健康へ影響を与えません。
②歯列の拡大
歯列の幅を側方に拡大することによって、歯を動かす空間を作る方法です。インビザライン矯正では、マウスピースで歯に力をかけることによって、歯列を全体に外側に広げることができます。歯と歯の間に空間ができるので、歯をきれいに並べるためのスペースが生まれるのです。
ただし、重度の叢生（デコボコやガタツキが大きい歯並び）の場合は、この方法は適さないことが多いです。
③臼歯の後方移動
臼歯（奥歯）をさらに奥に移動させることによって、歯を動かすためのスペースを作る方法です。インビザラインは、ワイヤー矯正が苦手としている歯列を奥に動かす「後方移動」ができるという特徴があります。奥歯を後ろに動かした分、矯正に必要なスペースが生まれるのです。
ただし、元から後方に顎の骨が無い人にはこの方法は適応できません。また、親知らずがある場合は抜歯が必要になることがあります。
インビザラインで抜歯する注意点・デメリット
インビザラインで抜歯矯正をする場合、どのようなデメリットや注意点があるのでしょうか？矯正で失敗しないために、あらかじめチェックしておきましょう。
埋まるまでは隙間が目立つ
抜歯をした後の隙間は、埋まるまで目立つことがあります。隙間が埋まるまでの期間は、個人差もありますが1～1年半ほどかかります。
そもそも歯列矯正で歯を移動させる方法には、傾斜移動と歯体移動があります。「傾斜移動」とは、歯が斜めに倒れるように動く移動方法です。「歯体（したい）移動」とは、歯の見えている部分だけでなく歯の根まで平行に動く移動方法ですです。
抜歯をしたところを埋める場合、「傾斜移動」だけでは歯が倒れてしまうので「歯体移動」も行う必要があるのですが、インビザライン矯正は「歯体移動」が苦手なため治療期間が長引く傾向にあります。
ぽっかりと開いた隙間が気になる場合、プラスチックでできた仮歯のようなものを付けて目立たなくさせることも可能です。
4本の抜歯は適応外となる恐れも
ワイヤー矯正では、小臼歯を4本抜歯することが一般的ですが、インビザライン矯正では4本の抜歯は適応外となるケースがあります。4本抜歯してもインビザライン矯正で問題なく治療できることもありますが、歯の移動量が多い場合は適応外となる恐れがあります。
腫れや痛みが伴う
抜歯後2～3日は、一時的に痛みや腫れを伴うことがあります。歯科医院で処方された薬を飲む、痛みがある部位を冷やすなどのケアで、痛みを緩和することができるでしょう。
治療内容を理解して適切な矯正生活を送ろう！
インビザラインは、抜歯をして矯正できるマウスピース型矯正システムです。ただし、抜歯症例の中でもインビザラインで対応できる場合と、対応できない場合があります。また抜歯以外にも、「IPR」「歯列の拡大」「後方移動」などスペースを作る方法はいくつかあります。
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インビザラインに関するよくある質問
Q.出っ歯は抜歯矯正できる？
出っ歯の原因は大きく分けて2つありますが、歯の傾きや位置の問題が原因の「歯性の出っ歯」は、インビザラインでの抜歯矯正（または非抜歯矯正）ができることが多いです。
顎の骨に問題がある「骨格性の出っ歯」は、インビザラインでの矯正は難しいです。
Q.抜歯する歯はどの位置？
歯列矯正で抜歯をする歯は、多くの場合「第一小臼歯（4番の歯）」です。中心から数えて4番目、犬歯のひとつ後ろの歯を抜くことが多いです。
前歯（犬歯から犬歯まで）を抜歯すると見た目が悪くなるので、その奥の4番の歯を抜くことが多いのです。症例によっては、さらに奥の5番の歯（第二小臼歯）を抜くこともあります。
Q.親知らずを抜歯するとどうなる？
親知らずとは、一番奥に生えてくる前から8番目の歯です。一番最後に生えてくる歯で、真っ直ぐに生えてくるスペースが不足しているため、傾いたり、埋まっていたりするケースが多いです。その結果、矯正の邪魔になることが少なくありません。
そのため、矯正を始める前に親知らずを抜歯するのはいたって標準的な処置となります。不足しているスペースが確保でき、メリットとなることが多いでしょう。
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