「歯科矯正に保険は適用される?」
「できるだけ費用を抑えて歯科矯正をしたい」
このように考えている方に向けて、本記事では歯科矯正が保険適用できる症例や条件を解説します。歯科矯正を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 歯科矯正は基本的には保険適用されないが、条件によっては適用される場合がある
- 保険適用される症例は「厚生労働大臣が定める疾患」「永久歯萌出不全に起因した咬合異常」「外科手術が必要な顎変形症」
- 保険適用された歯科矯正にかかる費用は3割負担になるため、少ない負担金で行うことが可能
歯科矯正は保険適用されないケースが一般的

歯科矯正は、基本的に公的医療保険の適用はされません。なぜなら矯正治療は、見た目をキレイにすることを目的としているからです。公的医療保険が適用されるのは、ケガや病気などを治す目的の治療に限られています。
そのため一般的な歯並びを改善する歯科矯正では、保険適用されない自由診療となるケースがほとんどなのです。また保険が適用されないため、検査代や装置代など矯正にかかる費用はすべて自己負担になります。
歯科矯正で保険適用される具体的な症例
歯科矯正は一般的には保険適用外ですが、一定の条件を満たす症例であれば保険が適用される場合もあります。歯科矯正で保険適用となる症例は、以下の3つに当てはまるケースです。
1.厚生労働大臣が定める疾患(先天性の異常)

「厚生労働大臣が定める疾患」とは、生まれつきお口のなかに異常が見られる先天性の疾患のことです。2022年12月現在61種類の疾患が指定されていて、いずれかの疾患が原因で噛み合わせが悪くなっている場合、公的医療保険が適用となります。
厚生労働大臣が定める疾患には、以下のようなものがあります。
- 唇顎口蓋裂
- ダウン症候群
- 脊髄性筋委縮症
- 小舌症
- 骨形成不全症
- 染色体欠失症候群
- 6歯以上の先天性部分無歯症 など
2.噛み合わせの異常
噛み合わせの異常とは、幼少期の歯の生え変わり時期に生じた異常のことです。正しくは「永久歯萌出不全に起因した咬合異常」と言います。
一般的には6歳ごろに乳歯から永久歯への生え変わりがはじまり、12歳ごろまでに永久歯が生えそろいます。しかし、生えてくる予定の永久歯がいつまでも生えてこないケースもあり、その状態が「永久歯萌出不全」です。
永久歯が生えてこない原因には、生まれつき永久歯が作られていないケースと、歯茎のなかに埋伏歯として埋まっていて自然に生えてこれないケースがあります。埋伏歯として埋まっている場合、「埋伏歯開窓術」という歯茎を切開して永久歯を引きだす手術が有効です。
前歯または小臼歯が3歯以上生えてこない永久歯萌出不全が原因で、埋伏歯開窓術とあわせて歯科矯正を行う際に、保険適用になります。
3.外科手術が必要な顎変形症
「顎変形症」とは、顎の骨格の形や大きさが原因で、噛み合わせに問題を起こしている病気のことです。顎変形症になる原因は遺伝的な要素と、指しゃぶりなどの幼少期の癖が関係しているとも言われています。
ただし顎変形症だと診断されただけで、歯科矯正の費用が保険適用になるわけではありません。顎変形症だと診断され、顎の骨を切るなどの外科手術が必要だと判断された場合に保険適用となります。
歯科矯正で保険適用できる医療機関は限られる

前述した3つの症例に該当するケースでも、どこの歯科医院へ受診しても保険適用される矯正治療が受けられるわけではありません。保険適用される歯科矯正が行えるのは、厚生労働大臣が定める施設基準を満たした地方厚生(支)局長に届け出をした歯科医院のみです。
矯正治療が保険適応となる歯科医院は、地方厚生局のホームページに掲載されています。検索方法は以下の通りです。
①地方厚生局のホームページから、お住いの地域の厚生(支)局をクリック
②地域の厚生(支)局のサイト内で「施設基準届出受理医療機関名簿」と検索
③県別の受理医療機関より歯科のPDFを探す
④「矯診」あるいは「顎診」の指定医療機関を探す
「矯診」歯科矯正診断料算定の歯科医院では「厚生労働大臣が定める疾患」と「永久歯萌出不全に起因した咬合異常」、「顎診」顎口腔機能診断料算定の歯科医院では「顎変形症」に関する歯科矯正が保険適用となります。
保険適用の歯科矯正にかかる費用は?
歯科矯正が保険適用となった場合の費用は症例によって異なりますので、一概に具体的な金額を提示することは難しいです。
しかし共通していえることは、健康保険が適用された場合は3割負担になること。たとえば矯正費用が100万円必要だった場合、3割負担の保険が適用されると30万円ほどの負担金で矯正治療を行うことができます。
自由診療で歯科矯正をする場合、治療前に提示された金額が大きく変わることはありません。しかし保険適用の場合は、治療ごとに治療費を支払うことになるため、通院回数が増えれば費用もそれに伴って増加します。
また自治体によっては、子どもの医療費を助成する制度が設けられています。このような制度を利用することで、無料や通院1回につき上限200円など、少ない負担金で歯科矯正を行うことが可能です。
歯科矯正を保険適用で受ける際のポイント

ここからは、歯科矯正を保険適用で受ける際のポイント・注意点を紹介します。
①顎関節症は顎変形症とは異なる
顎変形症と病名が似ている疾患に「顎関節症」があります。
顎関節症は、「顎が痛む」「大きく口を開けられない」「口を開け閉めするときに音がする」といった症状が特徴です。顎の関節に異常があるのが顎関節症で、顎の骨格が原因で噛み合わせに問題が起きている顎変形症とは、まったく別の疾患です。
顎関節症の治療で歯科矯正を行うこともありますが、厚生労働大臣が定める疾患には含まれておらず保険適用外となりますので、ご注意ください。
②高額療養費制度が適用できる
保険適用で歯科矯正を行った場合、高額療養費制度の利用ができます。
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になった際に、その負担を軽くする制度です。1ヶ月間に同じ医療機関で健康保険で払った医療費が、自己負担限度額を超えた場合に、超えた分の医療費が払い戻されます。
自己負担限度額は、年齢や収入、健康保険の区分によって設定されています。高額療養費制度の申請方法は、事前申請と事後申請があり、ご自身が加入している保険者に申請書の提出が必要です。
③医療費控除の対象となる
保険適用での歯科矯正は、医療費控除の対象にもなります。医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間に払った医療費が一定額を超えた際に、支払った医療費を所得控除できる制度です。
具体的には医療費が年間10万円を超えたとき(年間の総所得が200万円未満の場合は所得の5%を超えたとき)、超えた分を所得税から差し引かれます。生計を共にする家族の医療費も合算できます。
医療費控除を受けるには確定申告をする必要があり、最高200万円まで控除可能です。
④使用できる矯正装置が制限される
保険適用で歯科矯正を行う場合、決められた矯正装置しか使用できません。保険適用される疾患だと診断されたとしても、保険適用外の装置(マウスピース矯正など)を使用した場合は自由診療となることがあります。
たとえば顎変形症の治療にマウスピース矯正を使用すること自体は可能ですが、その場合は外科手術から矯正治療すべてが保険適用外となってしまうのです。
保険適用の有無は矯正ドクターに気軽に相談しよう

本記事では歯科矯正が保険適用できる症例や条件を解説しました。
歯科矯正は基本的に保険の適用はされませんが、厚生労働大臣が定める疾患など条件に当てはまれば、保険適用になる場合があります。保険適用が可能かどうかを自己判断するのは難しいため、歯並びが気になっているならまずは歯科医師に相談してみましょう。
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歯科矯正の保険適用に関するよくある質問

最後に歯科矯正の保険適用に関するよくある質問にお答えします。
Q.なぜ矯正は保険が適用されないの?
公的医療保険は、病気やケガに伴う治療に給付されるものです。歯科矯正は「噛み合わせを改善して歯としての機能を回復する」という目的だけでなく、「見た目を良くしたい」という審美的な目的も含まれています。
歯科矯正は病気やケガのように緊急に治療を必要とするものではなく、どちらかといえば美容整形的なものと考えられているため、基本的に保険適用外となっているのです。
Q.歯科矯正が高額になる理由は?
歯科矯正は基本的に公的医療保険が適用されません。治療にかかる費用は全額自己負担となるため、どうしても高額になってしまうのです。
また、矯正治療で使用されるワイヤーやマウスピースなどの矯正装置は、特殊な素材で緻密に作られています。矯正治療は高い技術と専門知識をもった歯科医師によって行われます。このように材料費や技術料がかかることも、歯科矯正が高額になる理由なのです。
Q.保険適用される歯科矯正の条件は?
歯科矯正に公的医療保険が適用されるには、以下の3つのケースがあります。
1.「厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する歯科矯正治療
2.前歯または小臼歯3歯以上の永久歯の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る)に対する歯科矯正治療
3.顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・手術後の矯正歯科治療
矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは(日本矯正歯科学会)