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歯科矯正は医療費控除でお金が戻ってくる? 大人の矯正治療費を申請する方法と注意点

矯正の値段は高額になる場合が多く、しっかりとした治療を受けたいと思う気持ちがあるものの、できるだけお得に受けられたら…と誰しも思うのではないでしょうか。

「歯科矯正は医療控除ができるのか?」「還付の対象になるのか?」気になっている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、歯科矯正で医療控除対象にするための方法や申請方法をお伝えしています。

医療費控除とは?

まず医療費控除とは何かみていきましょう。医療費控除とは、1〜12月までの1年間に支払った医療費が10万円を超える場合に(年間所得が200万円以下の場合はすべての所得金額等の5%にあたる金額)、超過分の金額に対して所得控除が受けられるという仕組みのことです。

そもそも確定申告ってなに?

医療費控除は確定申告の際に申請することで、収入や支払った医療費に対して控除が受けられます。

確定申告は、会社員の場合年末調整などで会社がおこなってくれる場合がありますが、個人事業主の場合や歯科矯正のように医療費に一定の金額以上かかった場合には、自分で申告する必要があります。

医療費控除はどういう仕組み?

医療費控除は、世帯をもっている場合には申告者だけでなく、世帯が同じ家族が支払った医療費も対象となります。すでに支払った金額が還付されますが、戻ってくる金額は申告者の所得や使った医療費によって異なります。

医療費控除は自分で申告する必要があります。申請を出さないと、お金が戻ってくることはありませんので、治療費を少しでも安くしたいという希望があれば申告を忘れないようにしましょう。

また、申告できる医療費は1年間にかかった医療費なので、年をまたいでの治療費などは適用外となるので、注意が必要です。

参考:国税庁|No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

歯科矯正治療は医療費控除の対象になるのか?

ここからは歯科矯正治療でかかった金額が、医療費控除の対象となるのか説明していきます。歯科治療の場合、医療費控除の対象となるケースとならないケースがあります。

小児矯正は対象になりやすい

歯科矯正を子どもの頃から始めるという人もいます。大人になってから始める歯科矯正より、幼少期におこなう歯科矯正のほうが医療費控除が受けやすいです。

というのも、大人と違い子どもの場合は放っておくと成長に影響を及ぼしかねない不正咬合など機能面の改善を目的とした歯科矯正のケースが多いからです。

一方、大人の歯科矯正の場合、見た目の改善といった審美目的が多く、医療費控除の対象とならないことがあります。

大人の矯正も機能不全なら対象になる

大人も子どもも歯科矯正をする場合、機能的な問題が理由ではなく、見た目を良くしたいという理由から始められることもあります。

お口の機能としては問題がないのに、審美的な理由から歯科矯正を始められる場合には、医療費控除の対象となりません。

子どもで歯科矯正を始められる場合は、今後の成長を見越して機能面を改善するなどの目的があって始められることが多いですが、大人になってからの歯科矯正は機能面が理由でないことも少なくありません。

審美的な改善を目的とした歯科矯正は医療費控除の対象となりませんが、その逆の機能面に問題があって歯科矯正を始められる場合は、医療費控除の対象となります。

次の項目で具体的にどのような症例に適応可能か見ていきましょう。

具体的な機能不全の症例

医療費控除が適応できる機能不全には、次のような症例が当てはまります。

ガタガタに生えている歯

歯が乱杭状態に生えており、清掃性が困難なことから虫歯や歯周病などのリスクがあります。叢生(そうせい)ともいいます。

・出っ歯・すきっ歯

前歯と左右の歯との間に重なりがあったり、前歯の中央に隙間がある状態です。隙間や重なりに食べかすや汚れが貯まりやすく、清掃性が悪くなります。すると、虫歯や歯周病などのトラブルを招きやすくなります。

開咬(かいこう)

口がしっかりと閉じない状態を指します。口の中が乾燥し、虫歯や歯周病のほか、感染症などにかかるリスクが高まります。

開咬の原因には生まれつきの顎の構造など先天的なことが理由の開咬と、後天的な習慣によるものがあります。

下顎前突

上下の歯の噛み合わせが逆になる状態を指します。放置を続けると見た目の悪化だけでなく、噛む力の低下や発音の支障につながります。

原因としては前歯の生える角度や遺伝、子どもの頃の習慣などが挙げられます。

機能的に問題がある場合は医費控除の対象になる

上記のような症状がある場合は、口腔内にトラブルを生じるほか、発音がしづらい、伝わりにくいなど会話においても問題があることも少なくありません。

このように、機能的に問題がある患者さんの歯科矯正は医費控除の対象となります。

また、国税庁がサイトで例示しているケースでは、一般的に治療に用いられている素材には医療費控除が適用されますが、そうではないものは対象外となると書かれています。

歯科治療では、金やポーセレンといった素材はすでに歯科治療において普及しており、よく使われます。これらを使った虫歯治療などには医療費控除が適用され、これはインプラントでも同様です。

見た目を気にして行う大人の歯科矯正は、対象になりにくい

歯科矯正の目的に、見た目の改善を挙げている人は少なくありません。大人になってからの歯科矯正はほとんどと言って良いほど審美的な目的の矯正です。

このような機能面では問題がないにもかかわらず、見た目の改善を目的とした治療の場合には医療費控除が適応されにくいと言えます。

見た目を気にしていたが、機能不全だったケースもある

大人の歯科矯正では機能的に問題が見当たらなければ、医療費控除は受けられません。自分では機能に問題がないと感じていても、診察を受けてみたら機能面の問題が見つかるというケースもあります。

歯並びは物心ついた頃から生活をしているため、自分では問題に気づきにくいものです。歯科矯正をすることで、以前より噛み合わせが良くなったり、頭痛や肩こりなどの不定愁訴が改善されたりするケースもあります。

自分ではなかなか判断できませんので、機能面の問題があるかどうかは歯科医師の判断を仰ぎましょう。

医療費控除に含まれる費用とは?

医療費控除を申請する際に、申請できる項目とできない項目があります。

医療費に含まれるもの3つ

まずは、控除の対象となる医療費を見ていきましょう。治療においてかかる次のような費用は控除の対象として申請できます。

歯科治療にかかった費用

矯正前の検査費用(レントゲンや初診時の口腔内検査など)や、診察費、矯正装置代金、矯正装置の調整代金などが申請できます

薬などの医薬品

鎮痛剤などの医薬品、ブラッシング用具やワックス(処方された場合のみ)

交通費

通院するために使った公共交通機関の費用は申請可能です。医療費に含まれないパターンもありますので詳しくは下記の医療費に含まれないものを参照して下さい。

医療費に含まれないもの3つ

続いて、医療費に含まれない項目について見ていきましょう。対象となるものとならないものの見分けが難しいと感じる場合は、国税庁の相談窓口などに聞いてみるのも手です。

市販品などの購入費用

市販の歯ブラシやフロスなど、自分で買った口腔ケアグッズや虫歯予防のための歯磨き粉などは対象外です。

ガソリン代やパーキング料金

公共交通機関を使った場合などには申請できますが、自家用車を使った際の燃料代や駐車代は申請できません。これは付き添いの方も同様です。タクシー代は、どうしても止むを得ない場合のみ適用となることもあります。

利息や手数料

デンタルローンやクレジットカードでの分割払いを選んだ場合に発生する手数料や利息は申請できません。

医療費控除に必要な手続きとは?

申請できる項目とできない項目が理解できたら、いよいよ申請手続きです。ここからは申請に必要なものと流れを紹介します。

用意するものは7点

医療費控除の申請で必要な書類は次の7つです。

1:申告する年に発生した医療費または、医薬品等の領収書またはレシート

2:診断書(不要の場合もあります)

3:クレジットカードやデンタルローンを使った際は、契約書や信販会社の領収書など

4:還付金の振り込み口座の情報

5:印鑑

6:e-Taxで申請時はマイナンバーカード

7:会社から支払われた医療費補助などがあれば金額がわかるもの

8:源泉徴収票

9:交通費一覧(交通費を申請する場合は個人で作成)

いつまでに(誰が)手続きをするのか

医療費控除の申請は確定申告のタイミングで、直接自分でおこないます。申請先は居住地を管轄する税務署に郵送するか直接持ち込むか、e-Taxを使ってオンライン申請の方法の3つがあります。

郵送や持ち込みだと時間がかかることもあるので、ゆとりをもって申請するよう心がけましょう。

申請書類は、国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーをクリックすれば、必要事項を入れていくだけで、自動計算されて簡単に作成できます。また、医療費控除の明細書をダウンロードし、手書きで記入することも可能です。

オンラインで申請したい人は、マイナンバーカードを事前に取得している必要がありますが、申請が24時間可能でスピーディーに還付手続きをしてもらえるといったメリットがあります。

また、事前に税務署で本人確認を行い発行してもらったIDとパスワードを使って申請する方法もあり、こちらはマイナンバーカードを読み込むためのカードリーダーを手に入れなくても申請できます。

受け取れる金額はどれくらいになるか

医療費控除では、対象となる最高額は200万円です。実際にいくらくらい戻るのかシミュレーションしてみましょう。医療費控除金額は次の式で求められます。

支払った医療費の総額(同一世帯全員分)-保険金などで補填される金額-10万円(年間所得が200万円未満の場合は所得の5%)

例1:年収190万円で1〜12月の期間に支払った医療費の合計金額が105万円の場合

※保険金などで補填される金額がないものとする

計算式1:105万円-0–95,000円=955,000円(医療費控除額)

計算式2:955,000×0.05(所得税率)=47,750円(還付金)

例2:年収350万円で1〜12月の期間に支払った医療費の合計金額が105万円の場合

※保険金などで補填される金額がないものとする

計算式1:105万円-0–100,000円=950,000円(医療費控除額)

計算式2:950,000×0.2(所得税率)=190,000円(還付金)

例3:年収700万円で1〜12月の期間に支払った医療費の合計金額が105万円の場合

※保険金などで補填される金額がないものとする

計算式1:105万円-0–100,000円=950,000円(医療費控除額)

計算式2:950,000×0.23(所得税率)=218,500円(還付金

※ふるさと納税・住宅ローン・idecoなどがある場合は計算式が異なる場合があります

まとめ

決して安くはない治療費用が発生することもある、歯科矯正。金額や治療の目的、内容によっては医療費控除が適用されることもあります。

すでに矯正治療を始めている人は、自分の症例が適応可能となる機能面の改善に該当するのか、担当歯科医師に確認してみましょう。

これから歯科矯正を検討してみるという人は、確定申告の時期まで負担する金額は発生してしまいますが、機能面の向上が認められれば医療費控除が適用されます。

申告の時期を逃さず必要書類を揃えておくなど準備することをお勧めします。

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歯科矯正の医療控除に関するQ&A

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歯科矯正は医療費控除になりますか?

歯科矯正は医療費控除の対象になるケースとならないケースがあります。歯科矯正治療は、機能的な問題が理由ではなく、見た目を良くしたいという理由から始められることも少なくありません。

このように、口腔機能としては問題がないのに、審美的な理由から歯科矯正を始められる場合には、医療費控除の対象となりません。一方、機能面に問題があって歯科矯正を始める場合は、医療費控除の対象となります。

歯科矯正の医療費控除はいくら戻る?

歯科矯正にかかった治療費用を医療費控除で申請する場合、いくら戻ってくるかは治療にかかった総額、会社の保険などでカバーされる金額、そして総所得によって異なります。還付金の算出方法は次の式で求められます。

医療費控除額:1年間に支払った医療費の総額-保険などで補填される金額–100,000円(年間所得が200万円未満の場合は所得の5%)

還付金:医療費控除額×所得税率

歯科矯正の医療費控除のやり方は?

確定申告のタイミングで、直接自分でおこないます。申請先は居住地を管轄する税務署に郵送するか直接持ち込むか、e-Taxを使ってオンライン申請の方法の3つがあります。

申請書類は、国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーをクリックすれば、簡単に作成できます。

歯科矯正の医療費控除で80万円の場合はいくら戻る?

歯科矯正をしてかかった金額の医療費控除額が80万円の場合は、所得に応じた税率をかけることで還付金が求められます。

所得税ごとの税率は次の通りです。

課税所得額税率控除額
1,000円 〜 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 〜 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 〜 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 〜 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 〜 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 〜 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円