「インビザラインとワイヤー矯正は何が違うの?」「費用はどっちが安い?」
歯科矯正を検討していると、このような疑問をお持ちになる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インビザラインとワイヤー矯正の違いを徹底比較します。それぞれのメリット・デメリットも詳しく紹介しますので、自分にあう矯正方法を選択する際の参考にしてください。
矯正の費用について詳しく知りたい方はこちらに記事も参考にしてみてください。
『歯科矯正の値段の相場は?医療費控除は?矯正費用に関する全情報まとめ』
マウスピース矯正の費用が気になる方はこちらに記事も参考にしてみてください。
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インビザライン矯正とは?
インビザライン矯正は、アメリカのアライン・テクノロジー社によって1999年に発売されたマウスピース型矯正治療の1つです。透明な目立ちにくいマウスピース型装置を使用するため、矯正中だと気づかれることはほとんどありません。
発売当初は限られた症例にしか対応できませんでしたが、研究や改良を重ね、毎年のようにバージョンアップを行うことで、幅広い症例に適応できるようになりました。
インビザラインは発売以来、多くの方々から信頼と実績を集め続けており、世界100ヶ国以上の国々で、1,300万人以上の方が治療を受けています。現在では世界でもっとも利用されているマウスピース矯正治療法です。
ワイヤー矯正とは?
ワイヤー矯正は、歯の表側にブラケットと呼ばれる矯正装置をつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かす矯正方法です。長い歴史をもつ矯正方法なので、歯科矯正といえばワイヤー矯正を思い浮かべる方も多いでしょう。
ワイヤー矯正は、矯正方法のなかでもっとも適応範囲が広く、さまざまな症例に対応しています。その反面、仕上がりは矯正歯科医の腕によって大きく左右されてしまうことも。
またワイヤー矯正には、歯の表側にある金属の装置が目立ちやすい特徴もあります。見た目が気になる場合は、目立ちにくい素材の装置を選ぶことも可能です。
【インビザラインとワイヤー矯正どっちがいいの?】効果で比較
インビザラインとワイヤー矯正には前述したこと以外にも、それぞれ細かな特徴があります。まずは効果の違いについて比較します。
インビザラインの効果は?
インビザラインは、10日〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換することによって、少しずつ歯を動かします。1つのマウスピースで動かす歯の距離は、最大0.25㎜です。
少しずつ歯を動かすインビザラインは、過度な力がかかりにくいため、ワイヤー矯正と比べて痛みを抑えられる傾向にあります。
インビザラインの矯正効果は、個人差はありますが、軽度のすきっ歯であれば2ヶ月程度で実感できるでしょう。しかし、重度の叢生(そうせい)などは、効果を実感するまでに少し時間がかかってしまう可能性があります。
ワイヤー矯正の効果は?
ワイヤー矯正は、ワイヤーが元に戻ろうとする力を利用し歯を動かします。歯が動く距離は、1ヶ月で0.3〜0.5㎜程度が一般的です。
1回の調整で大きく動かす場合、歯列全体に強い力がかかってしまうため、インビザラインと比べて痛みを感じやすい可能性があります。
ワイヤー矯正の効果を実感できる期間は、インビザラインと比較しても大きな違いはありません。矯正方法によって効果の違いがでることはないと考えていいでしょう。
【インビザラインとワイヤー矯正どっちがいいの?】対応症例で比較
インビザラインとワイヤー矯正の対応できる症例の違いを解説します。
インビザラインの対応症例は?
インビザラインは、マウスピース矯正のなかでもかなり適応範囲が広いです。抜歯や、歯を後ろに移動させる奥歯の遠心移動にも対応しています。
よほど重症でない限りは、以下のようなほとんどの症例に対応できます。
- 上顎前突(出っ歯)
- 叢生(ガタガタの歯並び)
- 空隙歯列(すきっ歯)
- 開咬(前歯が噛み合っていない)
- 過蓋咬合(噛み合わせが深い)
- 下顎前突(受け口)
ただし重度の叢生など歯を大きく動かす必要がある場合は、インビザラインのみでは治療が難しく、ワイヤー矯正が併用されることもあります。
ワイヤー矯正の対応症例は?
ワイヤー矯正は、信頼や実績がある伝統的な矯正方法です。これまで多くの方が利用してきた矯正方法のため、安心感があります。
前述したインビザラインの対応症例はもちろん、歯を大きく動かすこともできるため、抜歯を伴う治療にも向いています。重度の症例であっても、ほとんどのケースで対応可能です。
ただしワイヤー矯正は、装置の取りつけや調整はすべて歯科医師が行うため、歯科医師の技術力に依存している点は注意が必要でしょう。
【インビザラインとワイヤー矯正どっちがいいの?】料金で比較
矯正治療の料金は、矯正範囲によって異なります。また矯正治療は自由診療なため、歯科医院によっても料金はさまざまです。
ここでは、インビザラインとワイヤー矯正それぞれの全体矯正と部分矯正の料金の違いを紹介します。
インビザラインの料金プランは?
インビザラインには症状にあわせて複数のプランが用意されており、それぞれ動かせる範囲や使用できるマウスピースの枚数、料金の目安も異なります。
全体矯正
【コンプリヘンシブ】
マウスピースを無制限で作成できるプランで、歯全体の矯正が必要な場合や難しい症例にも適しています。治療計画を途中で変更することも可能です。
料金の目安:80~100万円
【モデレート】
すきっ歯や叢生、垂直的に歯並びを改善する場合など、大きく噛み合わせを変える必要のない中等度のケース向けプランです。
料金の目安:50~70万円
【ライト】
マウスピースは最大14枚までと少ないですが、すべての歯の移動ができるので、軽度の噛み合わせ改善もできます。前歯の軽いデコボコなどに利用されることが多いプランです。
費用の目安:45~65万円
【エクスプレス】
インビザラインのなかで最も軽度の症例を対象としたプランです。マウスピースは7枚までで、前歯の軽いすきっ歯やズレなど、適応する症例が限られます。
料金の目安:20~40万円
部分矯正
【インビザラインGO】
専用のスマホアプリで口腔内を撮影するだけで、すぐに治療可能かどうか診断できます。主に前歯の部分矯正に適したプランです。
料金の目安:35~50万円
子供向け
【インビザラインファースト】
乳歯と永久歯が混在する6~10歳くらいの子ども向けのプランです。歯並びを整えるだけでなく、永久歯に必要なスペース作りも同時に行えます。
料金の目安:40~80万円
ワイヤー矯正の料金は?
ワイヤー矯正は、表側矯正や裏側矯正などの種類や、矯正装置の素材によって費用が異なります。ここで紹介するのは、一般的な金属を使った表側矯正の料金です。
全体矯正の料金の目安:70~150万円
部分矯正の料金の目安:30~70万円
【インビザラインとワイヤー矯正どっちがいいの?】治療期間で比較
歯科矯正の治療期間は、矯正装置の種類や矯正範囲、歯の状態、移動させる距離などによって異なります。下記で紹介する期間はあくまでも目安です。正確な期間は担当歯科医に相談しましょう。
インビザラインの治療期間は?
インビザラインの治療期間は、ワイヤー矯正と比較すると少し長めになる傾向があります。なぜならインビザラインは、1つのマウスピースで移動させる歯の距離が短く、少しずつ歯に力を加えていくためです。
インビザラインにかかる治療期間は全体矯正の場合、2〜3年程度が一般的です。部分矯正の場合は、半年〜1年程度と治療期間が短くてすみます。
ワイヤー矯正の治療期間は?
一方でワイヤー矯正の治療期間は、インビザラインと比べると少し短めになる傾向があります。インビザラインよりもワイヤー矯正の方が、より強い力で全ての歯を大きく移動させるためです。
ワイヤー矯正の治療期間の目安は、全体矯正だと1〜3年程度、部分矯正だと2ヶ月〜1年程度になります。
インビザラインのメリット
ここまで解説してきたインビザラインとワイヤー矯正の違いを踏まえて、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
インビザラインには以下のような6つのメリットがあります。
ほとんど目立たない
インビザラインのメリットで一番に挙げられることが多いのが、装置の目立ちにくさです。薄く透明なマウスピース型装置を使用するため、矯正中だと周囲に気づかれることはほとんどありません。
ワイヤー矯正は目立つから矯正をあきらめていた方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。人前に立つことが多い職業の方にもおすすめです。
広い症例(歯並び)に対応可能
これまでマウスピース矯正では難しいとされていた、幅広い症例に対応していることもインビザラインならではのメリットです。
治療前に3Dシミュレーションで正確な治療計画を立てることができるので、重度の出っ歯や抜歯が必要なケースであっても矯正できます。
インビザラインは、部分的にワイヤーやゴムを併用することで、他のマウスピース矯正では困難ないろいろな歯並びを治すことが可能です。
ワイヤー矯正よりも通院回数が少ない
ワイヤー矯正の場合、月に1回程度通院してワイヤーの調整を行う必要があります。一方インビザラインは、自分でマウスピースを交換して治療を行うため、問題なければ通院は2ヶ月に1回程度となります。
お仕事などで毎月通院するのが難しい方にとって、少ない通院回数で治療が進められることは嬉しいメリットです。
取り外すことができる
インビザラインは矯正装置を固定するワイヤー矯正と異なり、いつでもマウスピースを取り外し可能です。食事をする際も取り外しできるので、矯正前と同じように好きなものが食べられます。
すみずみまで歯磨きが行え、口腔内を清潔に保てるため、虫歯や歯周病のリスクを減らすことにも繋がります。
ワイヤー矯正よりも痛みを抑えられることが多い
歯科矯正は痛いというイメージをお持ちの方も多いですが、インビザラインはワイヤー矯正よりも痛みを抑えられるとされています。インビザラインは、1枚のマウスピースで動かせる歯の距離が0.25㎜に制限されているため、移動に伴う痛みを抑えられるのです。
また、マウスピースは約0.5㎜の薄くなめらかな素材を使っており、装着時の違和感もほとんど感じないでしょう。
料金プランが豊富
インビザラインには歯並びの症状の度合いによって、豊富な料金プランが用意されています。プランごとに使用できるマウスピースの枚数や、歯を動かせる範囲が決まっていて、程度に応じた選択が可能です。
たとえば重度の不正歯列の場合だと、インビザラインで最も料金が高いコンプリヘンシブでの治療になります。しかし軽度の噛み合わせを治したい場合、ライトが適応されれば料金をかなり抑えて矯正することが可能です。
インビザラインのデメリット
どの矯正方法にもメリットだけでなくデメリットもあります。インビザラインのデメリットは以下の2つです。
かなりの重度の歯並びには対応できない場合がある
幅広い症例に対応可能なインビザラインですが、かなり重度の歯並びには対応できない場合があります。
インビザラインは歯を引っ張りだす・押しさげる・回転させる・大きく平行移動する動きが苦手です。これらの動きを必要とする重度の叢生や出っ歯、受け口、過蓋咬合には、インビザラインでは対応できない可能性があります。
着脱の管理を自分でしないといけない
インビザラインはマウスピースを自分で取り外しできる分、着脱の管理も自分で行わなければなりません。食事や歯磨きの際は取り外す必要があるため、面倒に感じる方もいるでしょう。
またインビザラインは、基本的に1日20時間以上の装着が必要です。つけ忘れたりして装着時間が守れないと、計画通りに歯が動かず、治療期間が延長してしまう可能性もあります。
ワイヤー矯正のメリット
ワイヤー矯正には以下のようなメリットがあります。
ほとんど全ての症例(歯並び)に対応することができる
ワイヤー矯正の一番のメリットは、ほとんど全ての歯並びに対応できることです。インビザラインより強い力をかけられるため、3㎜以上歯を大きく動かしたり、口元を大きく変えることもできます。
ちょっとした歯並びの乱れから複雑な不正咬合まで、幅広い症例に対応可能です。
期間が早いことが多い
ワイヤー矯正はインビザラインより治療期間が早くすむことが多いです。インビザラインはマウスピースを交換することによって、少しずつ歯を動かします。
一方ワイヤー矯正は、ワイヤーで歯を締めつけて移動させるため、インビザラインより強い力をかけることが可能です。
結果的に歯を大きく動かせる分、ワイヤー矯正の方が早く矯正が完了することになります。
ワイヤー矯正のデメリット
ワイヤー矯正には以下のようなデメリットもあります。
矯正装置が目立ってしまう
ワイヤー矯正のデメリットといえば、やはり装置が目立つことを気にされる方が多いです。一般的に利用される表側矯正は、歯の表面に金属の装置がつくので、どうしても目立ってしまいます。
仕事や学校生活に大きな変化がでてしまうため、見た目を気にされる方にとってハードルの高い矯正方法なのです。
取り外すことができない
ワイヤー矯正は、食事や歯磨きをする際も装置の取り外しができません。装置に引っかかりやすい食べ物もあるので注意が必要です。また、通常の歯ブラシだけでは汚れが残りやすく、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
矯正中に虫歯や歯周病になってしまうと、矯正を中断して治療をしなければいけない場合も。その分、矯正期間が長引くことにもつながってしまいます。
程度に応じたプランではない
インビザラインは使用できるマウスピースの枚数でパッケージプランが分かれていますが、ワイヤー矯正は歯並びの程度に応じたプランがありません。
部分矯正で安くなることはありますが、軽度だけど全体の歯を矯正したい場合、割高な料金になってしまう可能性があります。
まとめ
インビザラインとワイヤー矯正には、それぞれに特徴があります。メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで、自分にあった方法を選択することが大切です。
どちらの矯正方法が最適か判断するためには、歯科医院でのカウンセリングを受けて、歯並びの状態を見てもらいましょう。
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インビザラインとワイヤー矯正に関するよくあるQ&A
最後にインビザラインとワイヤー矯正に関するよくある疑問にお答えします。
Q.ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、歯の動き方にどんな違いがありますか?
A. ワイヤー矯正は、ブラケットがついている1点に対して力が加わることになり、いちばん動かしたい歯の隣の歯に大きな力がかかってしまいます。その歯に負担がかかるとダメージを受けやすくなるため、微調整をする動きも必要になります。
一方マウスピース矯正は、歯全体を装置が包みこみ歯にかかる力を分散できるため、特定の歯へダメージを与える心配もありません。また、事前にシミュレーションを行い、最終目標までをいくつかのステージに分け、必要最小限に動かしていくため、ムダな動きのない治療ができます。
Q.マウスピースを着けると、発音が悪くなってしまうと聞いたのですが……
A.インビザライン矯正を装着し始めたころは、滑舌が悪くなったように感じる方もいます。特にサ行・タ行・ナ行・ラ行は発音に影響を受けやすいです。
ただし、発音が影響を受けるのは一時的なもので、矯正中ずっと続くわけではありません。早ければ数日、遅くても数週間ほどで慣れて、いままで通り話せるようになります。
マウスピースは厚さ0.5㎜ほどの非常になめらかな素材で作られており、ほかの矯正方法と比べて発音に影響が出にくいとされています。アナウンサーや司会業など人前で話す機会の多い職業の方も利用する矯正方法です。
Q.マウスピースを紛失してしまったら、どうしたらいいですか?
A.まずはすぐに通院中の歯科医院に連絡してください。治療データが保管されていますので、新たに型取りを行うことなく作り直しが可能です。
再発注したマウスピースが届くまでには多少時間がかかります。できあがるまでの間に歯並びが戻らないよう、1つ前のマウスピースを装着し、その時点までの歯並びが保たれるようにします。
インビザライン矯正中は、予備として1つ前のマウスピースを保管しておくと安心です。