噛み合わせの矯正治療が必要な例や具体的な治療方法・費用目安を紹介

悪い噛み合わせは、見た目だけでなく全身の健康や美容にも影響を及ぼすことがあります。良い噛み合わせは素人が判断するには難しいポイントもありますので、本記事では、噛み合わせ矯正治療のゴールの例を紹介していきます。

噛み合わせ矯正治療のゴールとなる条件とは？

まず、噛んだときに違和感や噛みづらいと感じる箇所がないことです。そして、下の歯より上の歯がやや覆いかぶさっているような状態を指します。

より、細かな点では、上下の歯が噛み合わせたときに強く当たりすぎていないことや、中央前歯から2つ隣にある歯（犬歯）がしっかり噛んでいる点なども良い噛み合わせの条件として挙げられます。加えて、上下の歯と歯の間に大きな空間がないことなども良い噛み合わせに必要です。

矯正が必要な悪い噛み合わせの例と放置によるリスク

良い噛み合せの条件がわかったところで、ここからは矯正が必要となる悪い噛み合わせの具体例をご紹介します。噛み合わせが悪いことを、歯科用語では「不正咬合」と言います。つまり、噛み合せ＝咬合が正しい状態でない＝不正咬合です。

①出っ歯

比較的アジア人に多いとされる出っ歯は上顎前突ともいいます。下の歯よりも前の歯が出っ歯って生えていたり、歯の向きが前に向かって傾いている状態です。

出っ歯にはさまざま原因が考えられますが、生まれつき顎のサイズが小さい先天的なことや、舌で前歯を押し出すなど日頃の習慣から出っ歯になる後天的なものまであります。

②八重歯などのガタガタな歯並び

前歯の中央2本から左右に2本目にあたる歯を犬歯と言います。犬歯がほかの歯に比べて大きかったり、前に飛び出していたりする状態を八重歯と言います。

海外ではバンパイアティースともいい、ドラキュラのような大きな歯にもじって名付けられています。八重歯は叢生と言われる歯がガタガタに生えていることが少なくありません。

③上の歯より下の歯が前にでている

良い噛み合わせの条件にも挙げましたが、上の歯が下の歯にやや被さっている状態が良い噛み合わせです。その逆の下の歯のほうが前の歯より被さった状態は良い噛み合わせとは言えず、噛みにくさや顎の痛みなどを生じる可能性があります。

④上下の前歯がうまく噛み合わない

噛み合わせの良い状態では、しっかりと噛んだときに上下の歯がやや触れる状態を指します。

しかし、悪い噛み合わせだと上下が少しも触れずに空間が空いてしまっていたり、真ん中に位置している上下の歯の中央ラインがズレているなどの状態が見られます。こうした状態のまま噛むとしっかりと食べ物を噛みきれず口や顎の機能を十分に使うことができません。

⑤すきっ歯

すきっ歯はその名のとおり、上の前歯2本の間に隙間がある状態を指します。2mm程度の隙間があるだけで食べ物が詰まりやすかったり、歯磨きをしても磨き残しが見られ、虫歯や歯周病などのトラブルを招きます。

また、隙間部分から息が漏れることで、会話をしていても相手に聞き取られづらいと感じられてしまうこともあります。

矯正治療だけでは改善が難しい噛み合わせ

歯科矯正することで状態が改善される症例を見てきましたが、なかには矯正だけでは治療できないケースもあります。

それが、顎変形症です。顎の形が変形しており上下いずれかまたは両方の顎の形にズレなどがみられる状態を指します。

変形以外にも上下どちらかの顎が小さい、前方へ突き出ているなどの状態の患者さんもいます。顎が変形していることで、食べ物が噛みづらかったり、口が閉じづらかったりと日常生活に支障をきたすことがあります。

顎変形症は小さいときには気が付かずに、顎の骨が成長する段階で異常や不具合に気づくという人もいます。顎変形症は歯科矯正だけでは改善することが難しく、顎の骨を削るなどの外科的な処置が必要となります。

参考：日本矯正歯科学会

噛み合わせを矯正すると顔の歪みの解消も期待できる？

噛み合わせに問題を感じている人のなかには見た目への影響があると考えている人も少なくありません。噛み合わせが悪いことで、顔にも歪みが出ることがあります。ここからは、噛み合わせを改善することで顔のいびつさがとれる理由を挙げていきます。

噛み合わせと顔の歪みの関係性

顔が歪んでいる理由には、おもに2つあります。1つ目が、食べ物や水分摂取などによる顔のむくみや脂肪、病気といった健康状態が関係するため。

そして2つ目が、骨の形状や歯並び（噛み合せ）に由来するものです。噛み合わせが悪いことで左右非対称となることや、左右の顎でバランス良く食べ物が噛めないことなどから、どちらか一方の筋肉が発達してしまい、歪んで見えてしまうのです。

矯正によって顔の歪みが改善される理由

顔の歪みの原因が噛み合わせにある場合、歯科矯正をおこなうことで改善することができます。噛み合わせが悪い状態のまま放置しておくと、噛みづらいほうを避けて食べ物を噛んでしまったり、顎の使い方に癖が生じてきたりします。すると、無意識のうちに片方の顎ばかりが使われ、顔に歪みが生じます。噛み合わせを矯正で改善することで、左右バランスよく口を使うことができ、筋肉の偏りも治すことができ、顔の歪みが改善されます。

噛み合わせを矯正する代表的な治療方法の特徴・費用目安を紹介

噛み合わせの改善によって、顔の歪みなどの悩みを軽減できることを紹介しました。ここからは矯正方法について見ていきましょう。

ワイヤー矯正（表側）

歯科矯正というとイメージしやすいワイヤーとブラケットという矯正装置を使った方法があります。ワイヤー矯正には、歯の表面に装置をつけて行う表面矯正と、歯の裏側に装置をつけて行う裏側矯正の2種類があります。

表面に付けるワイヤー矯正のメリットは次のとおりです。

さまざまな症例に適応可能

マウスピース矯正よりも適応可能な症例が幅広いのが特徴です。難症例であってもワイヤーのほかにスクリューアンカー（小さな生体親和性の高い骨用のネジ）や外科的な処置も時には併用しつつさまざまな症例に対応可能です。

つけ忘れや紛失などのリスクが少ない

つねに矯正装置をつけたままとなるため、歯磨き時や食事の際に外したまま、つけ忘れてしまうということがありません。また、つけたままの状態が継続できるため歯の移動も生じやすいです。

一方、表面につけるワイヤーのデメリットは次のとおりです。

目立ちやすい

装置があることで余計に口元が盛り上がってしまい、目立ちやすいことがデメリットです。

痛みや違和感がある

ワイヤー矯正は数週間〜1ヶ月に1回程度の頻度でワイヤーを調整をする必要があります。ワイヤーを調整した後数日は痛みや違和感を感じる人が多いです。食事やブラッシングが苦痛になることもあります。

清掃性が困難

常時装置をつけたままの状態で歯磨きも行うため、矯正装置周辺が磨きづらかったり、磨き残しが起こったりする可能性があります。

虫歯や歯周病リスクが高まる

装置による歯磨きのしづらさから虫歯や歯周病に罹患するリスクが高まります。ワイヤー矯正の場合、ブラッシングはこれまで以上の注意が必要となります。

ワイヤー矯正（裏側）

続いて、歯の裏面につけるタイプの矯正についてです。おもなメリットは次のとおりです。

目立ちにくい

歯の表面だとどうしても会話時や笑顔になった際に装置が目立ってしまいますが、歯の裏側に装置をつけるため目立ちにくいです。

適応範囲が広い

歯の表面同様、常に矯正装置をつけたままの状態が保てるので、歯の移動も起きやすく、適応症例の範囲も広いです。

続いて、裏面のワイヤー矯正のデメリットは次のとおりです。

痛みや違和感がある

表面同様、ワイヤーを調整する必要があるためその際に痛みや違和感を感じることがあります。

費用が高い

歯の表面と比べて高い矯正技術を必要とするため、比較的費用が高額になります。

歯が磨きづらい

歯の表面同様装置周辺に食べカスや歯垢がたまりやすいため、ブラッシングをするときは注意して丁寧に磨く必要があります。

虫歯や歯周病にかかるリスクがある

こちらも清掃性との兼ね合いで、食べカスや歯垢などの磨き残しがあると虫歯や歯周病にかかるリスクが上がります。

マウスピース矯正

マウスピース矯正は目立ちにくさや違和感が抑えられることなどから、近年注目を集めています。そしてマウスピース矯正も噛み合わせを改善することができます。

マウスピース矯正は、歯を理想の位置や傾きにするため、マウスピースを複数個作製して、移動状況に応じてつけ変えていくことで歯の移動を起こす矯正方法です。

マウスピース矯正のおもなメリットは次のとおりです。

目立ちにくい

透明なマウスピースを使い、歯の移動を生じさせるため、矯正中であることが目立ちません。

自分で取り外せる

ブラッシング時や結婚式、どうしても仕事の都合上外さざるを得ない時などに取りはずせます。

衛生的

装置を自分で外せるため、これまでどおりのブラッシングができます。ワイヤー矯正の場合は装置の周りに食べ物が詰まったり、同じ箇所に汚れがたまるなど清掃性はとくに気をつけなくてはなりません。しかし、マウスピース矯正ならばこうした手間が省けます。

虫歯や歯周病のリスクが下げられる

装置を取り外してブラッシングができるため、常に清潔な口内環境を保つことができます。悩みの種である矯正中に発生しがちである虫歯や歯周病などにかかるリスクがを下げることができます。

痛みや違和感が抑えられる

マウスピースは一定の期間ごとにマウスピースを交換します。口腔内の違和感や痛みを抑えることができます。

続いて、マウスピース矯正のおもなデメリットは次のとおりです。

適応症例が限られている

重度のガタガタに生えている歯や、顎の変形のような骨格そのものが原因である症例に関しては、マウスピース矯正はおすすめできません。このような外科的な矯正手術やワイヤー矯正でないと対応が困難である症例の方にマウスピース矯正はおすすめすることができません。

装着時間を守らないと期待通りの効果が得られないこともある

マウスピース矯正は自分で着脱が可能であるという点がメリットとして挙げましたが、一方で決められている装着時間が守られていないと期待通りの効果は得ることができません。

食事の際に取り外してそのまま付け忘れてしまったり、ブラッシング後につけずに寝てしまうなどということが続くと、治療効果が得られないばかりか、治療の期間が長引くことにつながりかねません。

マウスピース矯正による噛み合わせ治療の症例

ここからは実際に、マウスピース矯正で噛み合せが改善した症例を紹介します。

症例1：出っ歯

症例2：ガタガタに生えている

噛み合わせを矯正して綺麗な歯並びを手に入れよう！

歯並びと噛み合わせは密接な関係にあります。見た目ばかり悩んでいて歯の矯正を始められた人でも、歯科矯正によって噛み合わせが改善することで、機能面での変化を感じる人も少なくありません。

噛み合わせが良くなると顔の印象まで変わりますので、もし今噛みづらいと感じていたり、顔に歪みがあるかもと感じたりしている人は、歯科矯正を検討してみてはいかがでしょうか。

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噛み合わせ矯正に関するよくあるQ&A

Q.噛み合わせが悪いまま放置するとどうなる？

A.噛み合わせが悪いまま放っておくと、次のようなトラブルにつながる可能性があります

• 虫歯や歯周病につながる
• 顔や姿勢が歪む
• 顎関節症になる

Q.噛み合わせが正しいとはどんな状態

A.噛み合わせの悪さは見た目だけでは判断できないこともあります。次のような状態を参考にしてみてください。噛んだときに違和感や噛みづらいと感じる箇所がなく、下の歯より上の歯がやや覆いかぶさっているような状態を指します。

より、細かな点では、上下の歯が噛み合わせたときに強く当たりすぎていないことや、中央前歯から2つ隣にある歯（犬歯）がしっかり噛んでいる点なども良い噛み合わせの条件として挙げられます。

Q.噛み合わせってどうやって直すの？

A.噛み合わせの改善には、歯科矯正が有効な場合と、外科的な処置が必要な場合があります。噛み合わせが悪い原因が、先天性の骨の変形などの場合には外科的な処置が必要となり矯正では改善できないことがあります。

しかし、日々の習慣や歯並びの改善だけで治る場合には、矯正が有効です。矯正方法には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。