2022年11月17日
2023年3月6日歯科矯正の説明を受けたとき、リテーナーという存在を初めて知った方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リテーナーとは何か、リテーナーの種類、注意点を記載していますのでぜひ参考にしてみてください。
矯正後の保定期間に用いるリテーナーとは？
歯科矯正を終えたばかりの歯並びはとても綺麗な状態です。もうこれ以上の治療の必要性は感じない人も多く、通院が遠のいてしまうこともあります。しかし、それは非常にもったいないことにつながります。リテーナーが必要な理由を理解しましょう。
リテーナーとは後戻りを防ぐ器具のこと
リテーナーは保定装置とも呼ばれ、歯科矯正した歯並びをキープするために使う器具です。矯正装置や方法関係なしに、矯正直後の歯は元の位置に戻りやすい状態です。歯を支えている顎の骨がまだ安定していないため、「後戻り」が生じてしまい、矯正治療前の歯並びに戻ってしまったり、歯並びが崩れてしまったりする可能性が高いです。
後戻りを防ぐために、取り外しができる保定装置（リテーナー）をつける期間が必要になります。
矯正後の後戻りの仕組み
歯科矯正は移動させたい位置に歯並びを動かすように設計された装置を使います。この装置を使うと、歯と歯の根っこにある歯槽骨、その間にある歯根膜に破壊と再生が生じることで徐々に歯が動いていきます。矯正直後の歯は治療前の状態に戻りやすく、歯もまだ移動しやすい状態のため、後戻りが起きてしまいます。
リテーナーには複数の種類がある
リテーナーと一言で言っても、さまざまな種類があります。使うリテーナーの種類はクリニックや治療方法、矯正のブランドによっても異なります。それぞれ特徴がありますので見ていきましょう。
1.マウスピースタイプ
透明なので目立ちにくく取り外しが可能なタイプです。歯ぎしりや噛みしめが強い方がマウスピースタイプを使用すると、穴が空いてしまうなどのリスクもあります。しかし、ほとんどのケースでは耐久性にも優れているため、よほど酷い癖がない限り破損リスクはありません。
マウスピースタイプは、マウスピース矯正で使うものとほぼ同じ形状をしています。マウスピース矯正をした人であれば、違和感なく使えます。
2.ベッグタイプリテーナー
取り外しタイプのなかでも一般的なのが、ベッグタイプのリテーナーです。ワイヤーとプラスチック素材でできており、歯全体に取り付けます。全体に使うよりも後戻りしやすい前歯など部分的にも使います。
ワイヤー部分がどうしても目立ってしまうため、会話時には周囲にバレてしまったり、会話がしにくかったりします。おもに抜歯を伴うような歯科矯正の後に用いられます。
3.ホーレータイプリテーナー
前歯部分を取り囲む形状になっているものです。部分的なリテーナーなので、取り外しもしやすいのが特徴と言えます。
4.フィックスタイプリテーナー
犬歯と犬歯の間に取り付ける固定式のリテーナーです。常時つけていることが気になる人もいるかもしれませんが、こちらの装置は歯の裏側に接着させるため、日常生活ではほとんど気づかれません。
取り外す手間がないぶん、ワイヤー周辺に歯垢や食べかすが溜まりやすいため、念入りな歯磨きが必要となるほか、定期的なクリーニングや診察は必須です。
5.QCMリテーナー
QCM（Quick Change Method）リテーナーとは、透明なプラスチックとワイヤーでできている取り外し可能なタイプのリテーナーです。会話時に見える部分は透明で部位も少ないため、ほとんど目立ちません。清掃性の面でもマウスピース型同様に、綺麗に保てます。
矯正後のリテーナーについて気になるポイントを解説
歯科矯正は決して短くない期間がかかります。さらにその後に発生する保定期間。ここからはリテーナーを着ける期間と、装着時間のほか、通院頻度や費用面など気になる点を解説します。
使用する期間
どれくらい歯科矯正で歯を動かしたかなど個人差はありますが、一般的には最低でも矯正期間と同じくらいの期間のリテーナー装着が推奨されています。歯を動かすために中長期的に期間がかかったのに、さらに同じ期間かけるとなると負担に感じられるかもしれません。
しかし、リテーナーは歯科矯正よりも通院頻度も少なく、ワイヤーやマウスピースの調整・交換時に比べて痛みも少ないため、歯科矯正より心身に感じられる負荷はありません。
装着する時間
治療完了直後の装着時間は、基本的に食事や歯磨き以外は就寝時含め一日20時間以上が望ましいとされています。歯を支える骨が安定してきたら、使用頻度は就寝時のみなど徐々に少なくなっていきます。
この判断は自分ではできず、歯科医師の判断に委ねられますので、決められた通院頻度を守って診察を受けましょう。
リテーナー使用時の通院頻度
保定期間に入った最初の数ヶ月は1ヶ月に1回程度の通院が必要です。歯が安定してきたら2〜3ヶ月ごとに1回、半年に1回など通院期間が空いてきます。
こちらも自己判断では決められませんので、矯正歯科医師の指示を守るようにしましょう。
矯正後リテーナーの値段
矯正費用には、矯正装置とリテーナー原則別です。矯正終了時にもう代金の支払いが済んだと思っていたら、あとから保定装置（リテーナー）代金の請求がくることもありますので、治療前にリテーナーの費用も込みかどうか確認しておくと安心です。
リテーナーはクリニックごとにも異なりますが、おおむね15,000円〜6万円程度と開きがあります。
毎日のお手入れ・洗浄方法
マウスピース矯正同様、リテーナーも汚れが溜まりやすい構造になっています。固定式であればいつも以上に念入りに歯磨きをすることが大切です。また、取り外せるタイプであれば毎日洗浄するようにしましょう。
洗浄には、専用の薬剤や入れ歯用洗浄剤などが適切です。歯ブラシや歯磨き粉でゴシゴシ洗ってしまうと、傷がついたり破損したりする可能性があるので気をつけましょう。
矯正のリテーナー使用、さぼったらどうなる？
歯科矯正がようやく終わったのにまだ治療に同程度の日数がかかる……。そう思うと治療へのモチベーションが下がってしまう人もいます。しかし、リテーナーの装着を忘れると、せっかくの矯正治療が台無しになることさえあります。
装着時に痛みを感じやすい
矯正直後の歯並びは後戻りしやすい状態のため、リテーナーを長時間つけ忘れていると、歯が元の位置に戻ってしまいます。つけ忘れに気がついてつけたら痛みを感じるケースも少なくありません。これは、リテーナーが矯正直後の歯並びに沿って形作られているためです。
作り直しが必要となる
長期間リテーナーをつけていないと、歯は元の位置に戻ってしまいます。すると、リテーナーをつけても矯正直後の状態に戻すことは難しく、リテーナーの作り直しが必要になってしまいます。
リテーナーはあくまで歯の位置をキープするための装置なので、歯を矯正状態に戻す力はないからです。再製作となると、再び費用が発生し痛手になります。
歯が後戻りしてしまう
リテーナーの目的である歯並びの維持がおこなわれず、せっかく費用も期間もかけて得た歯並びが台無しになってしまいます。一度後戻りをしてしまった歯並びは、再び歯科矯正をする必要があります。矯正歯科には、こうした後戻りによる理由で来院する患者さんも少なくないのです。
矯正のリテーナー装着期間に注意すべき点
リテーナーは簡単に取り外しができるメリットがある一方、注意点も存在します。
破損・紛失時の対応
リテーナーをつけている最中に破損してしまったり、うっかりなくしてしまったりしたら、すぐにクリニックに連絡し、再度製作してもらうようにしましょう。わずかの期間でも歯は後戻りしますので、なるべく早めに診察を受けるよう心がけてください。
飲食時の着脱について
取り外し可能なリテーナーは食事の際に取り外す必要があります。つけたまま食べ物を噛むと破損や汚れの原因となります。また、飲み物も水かお茶などに止め、甘いジュースやアルコールなどは飲まないようにしましょう。
リテーナーに囲まれた歯は雑菌が繁殖しやすい環境なので、虫歯や歯周病につながるリスクがあります。食事の際の取り外しと、日々の洗浄は余計なトラブルを防ぐためにも必要です。
矯正のリテーナーの違和感が軽減できるマウスピース矯正
リテーナーは歯科矯正後に必ず必要となる装置です。取り扱いに注意し、後戻りを防ぐためにもつけ忘れないようにしましょう。
リテーナーは、痛みや違和感をほとんど感じませんが、矯正の種類によっては感じるケースもあります。リテーナーと同じ形状をしているマウスピース矯正であれば違和感を感じにくいので、矯正を選ぶ時点でマウスピース矯正を選択しておくのもおすすめです。
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矯正のリテーナーに関するよくあるQ&A
Q.リテーナーに矯正効果はあるの？
A.リテーナーは矯正直後の歯並びを維持するための装置なので、矯正効果はありません。しかし、取り外したままつけ忘れていると、元の位置に歯が戻ってしまうため、日々の装着は必須です。
Q.リテーナーを夜だけ装着するのはいつから？
A.矯正期間と同程度の期間保定をおこなう必要があります。保定終了後も2年目以降は夜間だけでもリテーナーをつけて就寝することが求められます。
Q.リテーナーの装着期間はどのくらい？
A.矯正直後から2年以内は1日20時間程度は装着している必要があります。
