部分矯正のメリット・デメリットは？治療ができる範囲やできない例も紹介

部分矯正を検討しており、「他の矯正との違いって何があるの？」と気になっている方も多いのではないでしょうか？

本記事では部分矯正のメリット・デメリットに加えて、治療ができる範囲やできない例などを詳しく解説していきます。部分矯正について詳しく知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

部分矯正とは？ 気になる箇所だけ整える治療方法

部分矯正は、Minor Tooth Movement（MTM）とも呼ばれています。全体的に矯正装置を施す全体矯正と違い、前歯だけなど、一部分だけを矯正することを指します。

部分矯正にもいくつか種類があります。全体矯正にネガティブな印象を持っている人でも、比較的気軽に始められる治療方法とも言えます。

メリットやデメリット以外にも、部分矯正ができるケースとできないケースがありますので、事前に知っておきましょう。

部分矯正から得られるメリット3つ

部分矯正にはおもなメリットが3つあります。具体的な内容を見ていきましょう。

メリット①全体矯正と比較して料金が低い

歯並びに悩みを抱えていても、全体矯正しか選択肢がない人と、部分矯正で治療できる人とでは、治療にかかる金額に大きな違いが発生します。

治療部位が少ないことからも、部分矯正は手に取りやすい価格で済みます。とくに、すきっ歯や軽度ガタガタなどの人は全体矯正よりも費用を抑えられる部分矯正で改善可能かどうか矯正歯科医に相談してみることをおすすめします。

メリット②短い期間で治療が完了する

歯全体を動かす全体矯正と違い、一部分だけを移動させる部分矯正は治療期間が短いことがメリットです。とくに全体矯正の対象となる奥歯の移動は、歯も大きく歯根という歯の土台部分もしっかりしているため、矯正で動かすのにも時間がかかります。

一方、前歯などの一部分だけの部分矯正なら、奥歯に比べて動きやすい前歯が対象となるため、治療期間も短くて済みます。

メリット③矯正期間中の負担が少ない

部分矯正は、矯正する範囲が狭いため、全体矯正に比べて痛みや違和感を感じにくい人が多いです。とくに、全顎に施すワイヤー矯正の場合では、ワイヤーの調整時やその後数日は痛みや違和感を感じやすく、食事もままならないということもあります。

しかし、部分矯正であればこうした悩みも少なくて済みます。また、通院回数も全体矯正と比べて少なくて済みます。

部分矯正による治療はデメリットも生じる

メリットが多いように感じる部分矯正にもデメリットはあります。実際に始める前に悪い面も知っておきましょう。

デメリット①噛み合わせの効果が期待できない

前歯など部分的な治療ではカバーできず、噛み合わせ自体を改善する必要がある人は適応外となります。部分矯正が適応できるのは、前歯などの一部分に問題はあるものの、そのほかの部分において問題が見られないケースです。

噛み合わせがそもそも合っていない、高さや位置のバランスがずれているなど全体的な噛み合わせに問題が見つかった場合には、部分矯正では治せないことがあります。

デメリット②歯を削る場合がある

矯正治療をして歯を動かすために、抜歯や歯を削るなどによって十分なスペースを確保する必要があるケースもあります。抜糸や歯の掘削等が必要なケースにおいては、部分矯正は適応できません。

部分矯正はあくまで部分的な歯の移動に対応するため、歯を抜いたり削る等を伴うダイナミックな移動には向いていません。

デメリット③全体矯正と比較して仕上がりが甘くなる

全体矯正は治療にかかる費用も期間もかさみますが、そのぶん治療効果は部分矯正よりも高いです。全体矯正の場合、すべての歯を移動対象として治療ゴールが設計されます。

しかし、部分矯正の場合は、装置を取り付ける一部分だけが移動するので、全体矯正に比べて完成度は高くありません。

部分矯正で治療ができる範囲は？できる例とできない例を紹介

部分矯正は歯を抜いたり削ったりする症例には向いていませんが、適応可能であれば費用も治療にかかる期間も少なくて済みます。どのような症例が向いているのか、または治療できないのか見ていきましょう。

【できる例】比較的軽い出っ歯・すきっ歯・八重歯など

前歯にある出っ歯やすきっ歯、八重歯などの気になる部分はあるが、そのほかの歯並びでは噛み合わせを含め問題ないケースに部分矯正ができます。

歯の重なりが激しい叢生（ガタガタの歯並び）や、歯と歯の間が大きく開いているようなケース、八重歯が突出している症状がある人には部分矯正は難しいです。

出っ歯やすきっ歯、八重歯などがあっても、比較的軽い症状であることが部分矯正可能の条件となります。

【できない例】重度のガタガタ・噛み合わせが悪いなど

歯の重なりが重度のガタガタの場合も、部分矯正が難しく、重なっている部分が前歯だけで部分的に見えても、歯の移動に耐えられるスペースが確保できないケースがあります。

また、問題がある箇所が部分的に見えても、骨格に問題がある症状は部分矯正が適応できません。上下いずれかの顎が突出していたり、左右にずれているなどは部分的に治すことが難しいです。外科的な手術や全顎に施す矯正治療が必要となるケースがほとんどです。

これらは自分で判断することが難しい場合もありますので、部分矯正ができるかどうかは、矯正歯科医に相談してみましょう。

部分矯正を選択できる治療方法とは？

部分矯正はおもに3つの方法でできます。詳しくそれぞれの特徴を見ていきましょう。

ワイヤー矯正（表側）

矯正方法のなかでも、もっとも歴史あるワイヤーとブラケットを使った矯正方法です。メリット・デメリットは次のとおりです。

ワイヤー矯正（表側）のメリット

• 適応できる症例が広い
• 歯の移動が起きやすい
• 費用が抑えられる場合もある

ワイヤー矯正（表側）のデメリット

• 矯正装置が目立ちやすい
• ワイヤーの調整時に痛みや違和感を感じる
• 歯磨きがしづらい
• 口内炎や虫歯になりやすい
• 食べ物が矯正装置に詰まりやすい

ワイヤー矯正（裏側）

ワイヤー矯正は表面だけでなく歯の裏側（舌側）にもできます。裏側矯正のメリットとデメリットは次のとおりです。

ワイヤー矯正（裏側）のメリット

• 適応範囲が広い
• 目立ちにくい
• 歯の移動が起きやすい

ワイヤー矯正（裏側）のデメリット

• 表側よりも費用が高い
• 調整時に痛みや不快感を感じる
• 歯磨きがしづらい
• 口内炎や虫歯になりやすい
• 食べ物が矯正装置に詰まりやすい
• 施術できる矯正歯科医が少ない

マウスピース矯正

続いて最近注目を集めているマウスピース矯正です。マウスピース矯正は複数枚のマウスピースを付け替えていくことで歯の移動を起こす矯正方法です。

マウスピース矯正でも、歯を部分的に動かすことができ、以下のようなメリットとデメリットがあります。

マウスピース矯正のメリット

• 目立ちにくい
• 痛みが抑えられる
• 歯磨きしやすい
• 通院回数が少ない
• 自分で取り外せる

マウスピース矯正のデメリット

• 適応できる症例に限りがある
• 装着時間を守らないと思うような結果にならない
• 歯の移動はゆっくり

部分矯正で気になることは気軽に矯正歯科医に相談しよう

部分矯正は、全体矯正より治療にかかる費用も期間も短くて済みます。ただし、部分矯正で改善できる症例には、軽度の出っ歯やすきっ歯、八重歯などと限られています。噛み合わせの改善や抜歯などを伴う症例には向いていません。

自分の症状が部分矯正で良くなるかどうかは、矯正歯科医に相談してみましょう。マウスピース矯正なら、痛みを抑えられ短期間で治療を終えることができます。

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部分矯正に関するよくあるQ&A

Q.部分矯正は何本まで可能なの？

A. 部分矯正で治療できる歯の本数は基本的に前歯のみです。前歯中央2本における出っ歯やすきっ歯のほか、中央から左右3番目にある軽度な八重歯などが部分治療可能です。

Q.部分矯正と全体矯正の違いとは？

A. 部分矯正と全体矯正の違いは主に4つです。

1つに、治療範囲です。全体矯正はその名のとおり奥歯も含む歯全体を対象としますが、部分矯正では前歯など部分的な治療となります。

2つ目は金額です。全体矯正は歯並び全体に矯正装置を使う必要があるため、治療にかかる費用も高額になります。一方、部分矯正は全体矯正の半分程度で済むことがほとんどです。

そして3つ目に治療にかかる期間です。全体矯正に比べて部分矯正の場合は少なくて数ヶ月長くても1年以内に治療が完結することが多いです。

最後4つ目に治療負担の少なさです。ワイヤー調整時の痛みや、矯正期間中の歯磨きのしづらさ、通院の手間などが部分矯正では少なくて済みます。

Q.出っ歯だけ部分矯正するデメリットは？

A. 出っ歯だけに問題を感じていて、ほかの歯並びにトラブルがない場合には部分矯正ができます。しかし、全体矯正と比べて仕上がりが甘くなるなどのデメリットもあります。

部分矯正の場合、矯正装置をつける部位のみが移動するため、ほかの歯に変化はあまりありません。全体矯正では、移動対象が全顎に及ぶため、理想の歯並びに近づけます。